大学村の森

大学村の森

概要

大学村の森は、札幌市東区北28条東4丁目に位置する緑地です。住宅街の中にひっそりと佇むこの森は、ハンノキやハルニレなどの樹木が生い茂り、自然豊かな景観を作り出しています。森の中には、ゴムチップ舗装が施された散策路が整備されており、訪れる人々は気軽に森林浴を楽しむことができます。

森は、「樹木保全ゾーン」と「樹木育成ゾーン」に分かれており、古木の保護と若木の育成が図られています。また、子供たちが遊べる遊戯ゾーンや、ピクニックなどに利用できる広場ゾーンも設けられており、地域住民の憩いの場として親しまれています。

歴史

この場所は、かつて札幌農学校（現在の北海道大学）の第3農場の一部でした。札幌農学校は、1886年に佐藤昌介が農場経営による収益を学校の資金とする提案を行ったことを契機に、農場を開設しました。1889年には、烈々布（現在の札幌市東区の一部）の土地363ヘクタールが農学校の所有となりました。

しかし、会計法の改正により、農場経営で得た収益を学校の維持資金にすることができなくなったため、1890年に農学校は附属農園と開墾地を道庁に返還しました。その後、農学校卒業生の親睦団体である札幌同窓会がこれらの土地の払い下げを受け、第1、第2、第3農園と称して管理しました。烈々布の土地は第2農園として小作農が行われていました。

1895年、札幌農学校が文部省の直轄となり、資産から生ずる利益を学校の歳入に組み入れることが可能になったため、札幌同窓会はすべての農園を農学校に寄付しました。農学校は、道庁から交付された土地と合わせて、第1から第8までの農場に区分し直し、烈々布の土地は第3農場となりました。

太平洋戦争後の農地改革では、北海道大学の土地は試験研究地であり国有地であったため、対象外となりました。しかし、1950年に農場の第1次解放が行われました。同年、北海道大学は法文学部を法経学部と文学部に分割し、本州から多くの教官を招き入れました。そして、第3農場跡地である北27条から28条東2丁目から4丁目のニレ林を切り開き、新任教官用住宅を約80戸建設しました。この住宅地は、周辺住民から「大学村」と呼ばれるようになりました。

現在

現在、大学村の森は、かつての農場の面影を残しつつ、地域住民の貴重な緑地として親しまれています。散策路を歩きながら、歴史と自然を感じることができる場所です。札幌を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

参考文献

片岡秀郎『札幌歴史散歩』ヒルハーフ総合研究所、2012年7月14日。ISBN 978-4-9906400-0-2。
『新版 札幌の公園ガイド』北海道新聞社、2014年6月15日。ISBN 978-4-89453-741-5。

関連項目

札幌農学校第2農場
花岡神社 (札幌市)) - 第4農場の成墾記念碑が残る。

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