大学通信教育設置基準

大学通信教育設置基準について

大学通信教育設置基準は、文部科学省が定めた省令であり、学校教育法の規定に従って大学の通信教育を実施するための最低限の基準を提供しています。この基準は、短期大学を除く大学に適用され、通信教育の質を確保し、学生に適切な教育を提供することを目的としています。

基準の背景

この基準は、1947年に施行された学校教育法の制定時から存在し、当時は高等学校の通信教育に関する規定を大学にも準用する形で運用されていました。しかし、詳細な具体的基準は未設定であり、大学基準協会が自主的に定めた「大学通信教育基準」が代替的に使用されていました。その後、放送大学の設立や、学校教育法の改正によって、大学通信教育に関する規定が整理され、1981年10月に正式に制定されたのが現在の大学通信教育設置基準です。

基準の内容

大学通信教育設置基準は、授業方法や単位取得方法、卒業要件、専任教員の配置数、校地や施設に関する規定を含んでいます。以下は、主な内容の概略です：

1. 趣旨（第1条）

この基準は、大学の通信教育に関わる最低基準を明示し、大学はこの基準以下にならぬよう、教育水準向上に努めることが求められています。

2. 専攻分野（第2条）

大学通信教育は、教育効果が十分に期待できる専攻分野に限定されるため、関連するものに限られます。

3. 授業の方法（第3条）

授業は印刷教材を使用した印刷授業、放送授業、面接授業、さらにはメディアを活用した授業など、多様な形式で行われ、外国での履修も認められています。

4. 授業の実施（第4条）

年間を通じて、定期試験を含む授業が適切に行われることが求められています。

5. 単位取得（第5条）

1単位は45時間の学修を必要とし、各授業方法ごとに具体的な内容が設定されています。

6. 卒業要件（第6条）

学生は、4年以上在籍し、124単位以上を取得することで卒業できます。また、30単位以上は面接授業またはメディア授業で取得することが規定されています。

7. 大学外での学修（第7条）

大学や文部科学大臣が定めた基準に従って、他の教育機関での学修も単位として認定される可能性があります。

8. 専任教員数（第9条）

大学の規模に応じて必要な専任教員の数を定めています。

9. 校舎等の施設（第10条）

学生が充分な教育を受けるために必要な施設の他、印刷教材の保管や発送を行うための施設が整備されることが求められます。

10. 通信教育学部の特例（第11条）

通信教育のみを行う大学は、運動場を設ける義務がないが、他大学の体育授業や地域施設での運動教室を単位として認定することが可能です。

まとめ

大学通信教育設置基準は、通信教育の質を保つための重要な枠組みを提供しており、大学にとって重要な指針となっています。この基準を遵守することで、学生は信頼できる学習環境の中で、必要な知識やスキルを身につけることができるのです。通信教育は、さまざまな学びの形を提供するため、今後もその内容の充実が求められるでしょう。

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