大宇・ティコ

ティコ（Tico）について

ティコは、韓国における自動車界において重要な役割を果たした軽自動車であり、大宇国民車（韓国GM）が製造したモデルです。1991年から生産が開始されたティコは、韓国政府の国民車計画の成果物として登場し、軽自動車規格で製造された最初の乗用車として多くの消費者に支持されました。また、一部の市場では「フィノ」という名称でも販売されました。

開発背景と生産

1980年代後半、大宇造船は日本の自動車メーカー、スズキとの契約により、新たな軽自動車の開発を開始しました。この際、スズキ・CL11型アルトをベースに設計され、1991年に慶尚南道昌原市の大宇国民車工場での生産が始まりました。ティコはスズキ・アルトの日本仕様車に基づいているものの、輸出仕様では直列3気筒796ccのキャブレターを搭載するなど、独自の仕様が採用されています。

人気の要因

ティコの成功は、当時の韓国におけるマイカーブームと国民車普及促進計画の後押しによるものでした。具体的には、高速道路通行料の50％免除や税制上の優遇、さらには片輪を歩道に乗せての駐車が許可されるなど、多くの利点があったことも人気の一因です。ティコはそのコンパクトなサイズと経済性から、都市部での利用に非常に適していました。

バリエーションとトランスミッション

1994年には、後部座席を取り外して荷室とするバンタイプのティコも発売され、多様なニーズに応える形となりました。トランスミッションには、3速AT、4速MT、5速MTを用意し、1997年には5速MTを元にした5速セミATが新たに加わりました。

後継車種と生産終了

1998年にティコの後継車種であるマティスが登場しましたが、ティコは並行して生産され続けました。しかし、2000年9月には韓国仕様の生産が終了し、続いて輸出仕様も2001年3月に生産終了となりました。最終的に、ティコの生産台数は68万台に達しました。

国際的な影響

ティコは韓国国内市場だけでなく、新興市場でも入門車として人気を集めました。このモデルは、大宇の傘下にあったポーランドのFSOやルーマニアのオートモービル・クラヨーヴァ、ウズベキスタンのウズデウオートなどで現地生産が行われるなど、国際的にもその名を広めました。生産終了後も、多くの中古車が他国に輸出され、今なお様々な場所でティコが走っていることでしょう。

関連車両

ティコは、スズキ・アルトや、同じく大宇国民車によって生産されたダマス（1BOX）やラボ（トラック）とも関連があります。これらのモデルも2015年の時点で引き続き生産・販売が行われています。ティコは、その歴史的な地位と多くの人々の思い出の中で、韓国自動車史に名を刻む存在となっています。

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