大宏池会構想

大宏池会構想の概要

大宏池会構想は、池田勇人が創立した宏池会から派生した各派閥が再結集を目指す動きを指します。2022年現在、主要な対象派閥には岸田派に相当する宏池会、麻生派の志公会、谷垣グループが属する有隣会があります。これらの派閥は、長年にわたる政党内の複雑な歴史と政治的背景を持っています。

宏池会系派閥の歴史

本構想の背景には、2008年5月に古賀派と谷垣派が合流した歴史的な経緯があります。合流以前、古賀派は46人（衆議院38人、参議院8人）、谷垣派は15人（衆議院12人、参議院3人）、麻生派は20人（衆議院16人、参議院4人）と、各派閥が存在しました。しかし、改組後の古賀派は62人に増加し、宏池会の力を高めました。

歴史的に見ると、宏池会の分裂は1998年に起こります。河野洋平による不満から新たな派閥、大勇会が結成され、以降、党内の勢力図が大きく変化しました。加藤の乱と呼ばれる派閥の争奪戦は、河野と加藤の対立を中心とし、多くの議員が揺れ動くことになりました。

合流構想の進行

加藤の乱の後、さまざまな派閥の統一に向けた合流計画が浮上しました。三つの主要派閥（河野グループ、堀内派、そして古賀派）が形成された背景には、当時の政治状況や指導者の意向が大きく影響しています。特に、2006年にはポスト小泉争いの中で、清和政策研究会が勢力を拡大していたことで、対抗意識が高まりました。この時期、政権の中枢に清和会出身の安倍晋三がいたため、他の派閥との再合流が急務となりました。

合流の最大の障壁は、河野と加藤の間に存在する確執でしたが、次第に両者の政治的思想の距離が縮まり、意見交換が行われるようになりました。2007年の麻生・谷垣の総裁選の際には、両者の関係がさらに複雑化し、麻生派と古賀派との対立が激化しました。

大宏池会構想の影響

合流が成立すると、2008年時点で衆議院66人、参議院15人の計81人を確保する見込みで、これは党内の大きな勢力を誇ることを意味しました。さらに、無派閥議員の参加なども見込まれ、昔日の宮澤派時代のような最大派閥に返り咲く可能性が議論されていました。しかし、実際には小選挙区制の導入により、派閥の機能は弱まっており、単純に人数が影響力に直結するとは限りませんでした。

重要なのは、古賀派が主導権を握ることになりますが、谷垣派や麻生派はその成り行きに不安を感じ、対立が続くことが予想されました。この潮流を受け、麻生の政権基盤強化を目指す意図や、各派閥内の微妙なバランスが今後の政治にどのように影響を与えるか注目されるところです。

現在の構想と展望

2020年の安倍退陣後、岸田が次期総裁選を見据えた動きを強化し、麻生派とも連携を目指す姿勢を示しました。2021年の総裁選では、両派はシナジーを強め、共に勝利したことから、大宏池会構想が再浮上しました。再統合の流れの中で、果たして真の合流が実現するのか、その行方は今後も注目され続けます。

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