大宝寺義興

大宝寺 義興の生涯

大宝寺義興（だいほうじ よしおき）は、安土桃山時代に活躍した大名であり、大宝寺氏の18代目当主として知られています。武藤義興とも呼ばれ、丸岡兵庫の名でも知られる彼の人生は、戦国の激動期の中での政治的な駆け引きや家族の関係性を浮き彫りにしています。

彼は天文23年（1554年）、大宝寺義増の二男として誕生しました。初めのうちは、櫛引郡に位置する丸岡城を本拠としていましたが、その後、兄の義氏が家老・土佐林禅棟を滅ぼしたことで、1591年に藤島城に移りました。これは彼の兄が織田信長との関係を強化し、屋形号を得た時期でもあり、義興も同年に義氏から羽黒山別当の地位を譲り受けることとなります。

1583年に家臣である前森蔵人の謀反により兄の義氏が自害した際、義興が尾浦城に入城し、大宝寺氏の家督を継ぎました。この時、義興は最上氏との関係に悩まされており、特に1584年に東禅寺筑前と共に上杉景勝に援助を求めた際、この緊迫した状況が顕在化しました。この時期、彼は義高と名乗っていました。

1586年の春、東禅寺の反乱が勃発します。義興は米沢の伊達政宗に援助を求めたものの、最上義光の援軍によって事態は悪化。1587年には本庄繁長の二男・千勝丸（後の義勝）を養子に迎え、上杉氏との関係を強化し、自らの家の独立と存続を目指しました。この積極的な外交戦略は、ひとえに最上氏の影響力を打破しようとするものでした。

だが、同年10月に東禅寺が再度反乱を起こし、義興はこれを制圧しようとしましたが、最上義光の反撃に遭い、大敗を喫することになりました。義興はその後、自らの命を絶つ選択を余儀なくされ、これにより大宝寺氏は約400年の歴史を持つ武藤氏が実質的に滅亡する結果となりました。

義興の養子である義勝は、清水城（田川郡）から小国城へと逃れました。この一連の出来事は、安土桃山時代の複雑な権力構造や人間関係を映し出しており、義興の政治的な駆け引きは特に興味深いものです。彼の生涯は、戦国時代の厳しさと人間の運命を垣間見る一例とも言えるでしょう。

参考文献

• - 大瀬欽哉、斎藤正一、榎本宗次 編『鶴岡市史』上巻（参版）、鶴岡市役所、1980年。NDLJP:9538546。

外部リンク

• - 大宝寺義興 - コトバンク

もう一度検索