大山寺 (鳥取県大山町)

大山寺（だいせんじ）

大山寺は、鳥取県西伯郡大山町に位置し、伯耆大山の中腹にある天台宗の別格本山です。この寺は、中国三十三観音霊場の29番札所としても知られており、山号は角磐山となっています。寺の本尊は地蔵菩薩であり、信仰の中心として多くの人々に崇敬されています。

歴史

大山寺の成立は、養老2年（718年）に遡ります。この時、俊方（後の金蓮上人）が開山したとされています。当初は真言宗の寺院でしたが、俊方は大山で鹿を射るという出来事を通じ、実は地蔵尊を弓で仕留めかけたことを知ります。この体験から、殺生が罪深いことだと悟り出家し、草庵を建立して地蔵菩薩を祀りました。これが大山寺の根本的な起源とされています。

大山は仏教の伝来以前から神道信仰の地として崇拝されており、山岳信仰や道教も取り入れた真言宗の信仰地として多くの修行者が集まりました。平安時代の貞観7年（865年）には天台宗に改宗し、天台宗別格本山としての地位が確立されます。この時期の寺院は、僧侶のキャリア形成の場ともなり、比叡山から派遣された座主がここで任期を務めた後、再び比叡山に戻るという形が用いられました。

中世には、尼子氏や毛利氏といった戦国武将からも尊敬を受け、寄進や寺の造営が行われました。江戸時代に入ると一時、寺領を没収される出来事がありましたが、その後、幕府の働きかけにより寺領が回復され、3000石が安堵されました。

明治時代には廃仏毀釈が進み、1875年には寺号も廃止されました。ここでは大神山神社の祭神が本尊に代わって祀られることになりましたが、1903年に寺号が復活するも、かつての42の僧房は10部屋に減少しました。さらに、1928年には4度の火災に見舞われるなど、多くの試練を経てきました。

文化財

大山寺は多くの文化財を有しており、特に重要文化財に指定されているものとして、以下のような建物や彫刻があります：

• - 阿弥陀堂 - 寄棟造で天文21年（1552年）に建立。
• - 木造阿弥陀如来及び両脇侍像 - 良円の作とされる天承元年（1131年）の作品。
• - 銅造十一面観音立像 - 奈良時代の作品。
• - 鉄製厨子 - 祈願文線刻池板3枚が附属。

加えて、登録有形文化財として本堂や鐘楼が指定されています。2016年には大山寺の旧境内が国の史跡に指定され、多くの見どころが増えています。

交通アクセス

大山寺へのアクセスは、米子駅から日交バスを利用し、約54分の道のりです。大山口駅からもバスでアクセス可能ですが、運行便数は限られています。また、終点の大山寺バス停は大山ナショナルパークセンターの1階に位置しており、訪れる際は注意が必要です。

総じて、大山寺は歴史的、文化的に重要な場所であり、多くの参拝者にとっての信仰の場であると同時に、観光地としての魅力を併せ持っています。

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