大山柏

大山 柏：日本の考古学の基礎を築いた研究者

大山柏（おおやま かしわ）は、1889年に東京で生まれ、1969年に逝去した日本の考古学者であり、戊辰戦争の研究家、陸軍の軍人、貴族院議員でもありました。陸軍少佐としてのキャリアを経ながら、学者としても輝かしい業績を残しました。彼は大山巌の二男で、その父は日清戦争や日露戦争で重要な役割を果たした元陸軍大将でした。

幼少期と教育

彼の母・捨松は初の官費女子留学生の一人であり、11歳で渡米し、後に日本人女性として初めて米国大学を卒業した非常に優秀な人物でした。このような環境の中で、柏も教育熱心な親の元で育ちました。英語とドイツ語を早くから習得し、自らの知識を広げていきました。

1910年、柏は陸軍士官学校を卒業し、近衛歩兵連隊に配属されました。しかし彼の性質は軍人としての枠に収まり切らず、軍隊の中での生活に馴染めない面がありました。特に、リベラルな家庭環境で育った彼は、帝国陸軍の硬直した体質に抵抗を感じ、挫折も味わいました。

考古学への関心

陸軍大学校に勤めながら、彼は考古学研究にのめり込んでいきました。ヨーロッパ留学で考古学の知見を深め、帰国後には独自に「史前研究会」を設立し、日本の考古学の基礎を築く活動を始めました。近代戦史研究名目で留学中に、本格的に考古学を学び、旧石器時代の研究に特に力を入れました。

大山史前学研究所の設立

1924年、柏は自宅の一角に史前研究室を設立し、後に大山史前学研究所を創設しました。この研究所は、遺跡の発掘調査や雑誌の刊行など、多くの研究活動を行い、日本考古学の発展に寄与しました。研究所には多数の若手研究者が集まり、彼の指導の下で活躍しました。特に縄文文化や旧石器文化に関する研究は多くの成果を上げ、その発掘調査は後に学界で評価されます。

戊辰戦争の研究

また、柏は戊辰戦争の研究にも力を入れており、1968年に出版した『戊辰役戦史』は後の研究において基礎資料とされています。彼の業績は歴史学の分野でも高く評価されており、その学識は生涯にわたり広がりを見せました。

晩年と戦後の困難

彼は1946年に貴族院議員を辞職し、その後は経済的困難に直面しました。戦後、家族の財産の大半は没収され、人知れず隠棲の日々を送りましたが、学問への情熱は失われることはありませんでした。1945年に文学博士の学位を取得し、その後も執筆や講義活動を行いました。

まとめ

大山柏の生涯は、軍人、考古学者、そして歴史家として幅広い業績を残しました。彼の研究は日本の考古学や歴史学の発展に対し、大きな影響を与えました。その学問への情熱と彼が築き上げた基盤は、今もなお多くの人々に受け継がれています。大山柏が残した業績は、現代考古学の礎となり続けています。

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