大岸駅

大岸駅（おおきしえき）

北海道虻田郡豊浦町字大岸に位置する、北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線の鉄道駅です。電報略号は「キシ」が用いられ、JRにおける事務管理コードは▲130301が付与されています。駅番号は「H43」です。なお、この駅から東室蘭方面は、JR北海道本社が直轄する区間となっています。

歴史

大岸駅の歴史は、昭和3年（1928年）9月10日に始まります。この日、鉄道省によって建設が進められていた長輪線（現在の室蘭本線の一部）のうち、静狩駅と伊達紋別駅の間が開通し、現在の場所に「小鉾岸（おふけし）駅」として開業しました。開業当初は、旅客だけでなく、貨物や荷物も取り扱う一般駅でした。

その後、昭和6年（1931年）4月1日には、長輪線が現在の名称である室蘭本線に編入され、当駅もその一員となります。駅名が現在の「大岸駅」に改称されたのは、さらに時が経った昭和10年（1935年）4月1日です。

時代の流れと共に駅の機能も変化しました。昭和55年（1980年）5月15日には、貨物と荷物の扱いが廃止され、同時に駅員の配置がなくなり無人駅となりました（ただし、簡易委託による窓口業務は継続されました）。そして、昭和62年（1987年）4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR北海道にその運営が継承されます。簡易委託による業務もいつしか終了し、完全に無人駅となりました。遅くとも平成5年（1993年）の時点ではすでに駅員がいない状態だったことが確認されています。

駅名の由来

現在の駅名は、所在地の地名に由来しています。

かつての駅名「小鉾岸」や現在の地名、そして駅名が「大岸」となった経緯には、興味深いいわれがあります。「小鉾岸」という名称の由来には諸説存在し、明確には特定されていませんが、アイヌ語の「オプ（op）」という言葉、これは「銛（もり）」や「槍（やり）」、「鉾（ほこ）」といった意味を持つ言葉と関連があるとされています。この旧称は、現在も近隣を流れる小鉾岸川にその名が残っています。

駅名も当初は地名に合わせて「小鉾岸」でしたが、後に所在地の地名が「大岸」に変更されたことに伴い、昭和10年（1935年）に駅名も改称されました。当時の鉄道省札幌鉄道局が昭和14年（1939年）にまとめた『駅名の起源』という文献によれば、改称の理由は「呼称が一般の人々にとって非常に困難であったため」とされています。加えて、「付近の海岸一帯が大きな岸を持つ地形であること」も、新しい駅名が採用された要因として挙げられています。

駅構造

大岸駅は地上に設置された駅で、ホームは2面2線を有しています。具体的には、駅舎に面した単式ホームと、かつては両側を使用していたものの現在は片側のみが使用されている島式ホームから構成されています。ホーム同士の移動は、それぞれのホーム中央付近に設けられた構内踏切を利用します。島式ホームの踏切へと繋がる階段の近くには、パラソル型の特徴的な上屋が設置されています。

かつては2面3線の線路配置を持つ駅でした（昭和58年頃の記録によれば）。現在の2面2線という構造は、駅舎側の真ん中にあった線路（旧2番線）を撤去した結果です。また、かつては下りホーム（駅舎から見て線路の反対側、岩見沢方面に向かって左側）にあたる旧2番線から、岩見沢方向へ分岐する側線が1本存在していました。

現在は長万部駅が管理する無人駅となっています。駅舎は線路の北側、つまり陸地側（あるいは岩見沢方面に向かって左手側）に位置しています。開業当初に建設された駅舎は、その後改築されており、現在の建物になっています。駅舎の中にはトイレが備えられています。

駅周辺

大岸駅は海岸線に近い場所に立地しています。駅を出てすぐに広がる海岸には、夏期には海水浴場が開設されたり、キャンプ場が整備されたりしており、行楽シーズンには多くの人々が訪れます。

駅周辺には、北海道道608号大岸礼文停車場線が通っています。公共施設としては、伊達警察署大岸駐在所や大岸郵便局があります。教育機関としては、かつて豊浦町立大岸中学校や豊浦町立大岸小学校鉱山分校がありましたが、現在は閉校しており、豊浦町立大岸小学校が現存します。

自然景観では、標高641メートルのペタヌ山が望めるほか、景勝地として知られる礼文華海岸や、その背後に控える礼文華峠が挙げられます。駅の東へ少し進むと、駅名の由来にも関連する小鉾岸川が海に注ぐ河口を見ることができます。

公共交通としては、駅前に「大岸駅前」というバス停留所があり、豊浦町営バスが運行されています。この路線は、かつて国鉄バスの羊蹄線として運行されていたものを引き継いだものです。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線における隣接駅は以下の通りです。

礼文駅 (H44) - 大岸駅 (H43) - 豊浦駅 (H42)

なお、大岸駅と豊浦駅の間には、かつて豊泉駅（ほうせんえき）が存在しましたが、こちらは廃駅となっています。

注: 上記の「のりば」「利用状況」に関する詳細は、参照元に具体的な情報がなかったため、ここでは記述を省略しています。また、本文中の駅番号は、JR北海道が旅客向けに設定しているものです。

もう一度検索