大崎映晋とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

大崎映晋

大崎映晋（おおさきえいしん、1920年6月21日 - 2015年）は、日本の水中写真家、水中考古学者、そして海女文化研究家として知られています。彼の生涯は、学問、軍事、そして芸術が交錯する、非常にユニークなものでした。

1920年、大崎映晋は群馬県前橋市に生まれました。中央大学経済学部を卒業後、東京藝術大学油絵画科を中退。トレジャー・ダイバーの先駆者である片岡弓八に師事し、ダイビングの世界に入ります。海軍水路部での勤務を経て、戦後は名取洋之助の門下に入り、水中写真家としてのキャリアをスタートさせました。

大崎は、国内外の数多くの映画で水中撮影を手掛けました。1960年から1961年には、サンタモニカ国際写真コンクールでアカデミー賞を受賞。その才能は国際的にも高く評価されました。

1970年、大崎はジャック・マイヨールが伊豆半島でフリー・ダイビングの世界新記録を達成する際、彼をサポートしました。この出会いをきっかけに、二人は深い親交を結びます。大崎は元世界水中連盟（CMAS）の日本代表も務めていました。

太平洋戦争中、大崎は軍隊に召集され、沖縄戦に参加。軍用船の沈没事故から生還し、米軍の捕虜収容所での通訳を経て、戦後の混乱期を生き抜きました。GHQの航路啓開部での勤務や、パージ（追放・粛清）の対象となるなど、激動の時代を経験しました。

戦後、大崎は写真家としての活動を再開し、水中撮影の分野で独自の地位を築きました。また、伊豆の海女をテーマにしたドキュメンタリー映画がカンヌ映画祭で話題を呼ぶなど、海女文化の研究にも貢献しました。晩年には『世界水中考古学事典』を完成させるなど、その探求心は生涯衰えることがありませんでした。

茨城県東海村に日本初の原子力発電所が建設される際、大崎は建設地沖合の海洋調査における潜水調査班の責任者を務めました。日高孝次と共に国立海洋研究所の設立を訴え、日本の海洋研究の発展に尽力しました。

2015年、大崎映晋は95歳でその生涯を閉じました。彼の残した水中写真や研究は、日本の海洋文化や水中考古学の分野において貴重な遺産となっています。彼の著書や関連書籍は、今も多くの人々に読まれ、彼の情熱と探求心を伝えています。