大崎貞和

大崎貞和の略歴と業績

大崎貞和（おおさき さだかず、1963年6月19日 生まれ）は、日本を代表する法学者であり、特に証券市場規制と会社法の分野において突出した研究を行っている。兵庫県に生まれ、1986年に東京大学法学部を卒業後、野村総合研究所に入社し、以降多岐にわたるキャリアを築く。

学歴と職歴

大崎氏は、1990年にロンドン大学法科大学院で法学修士を取得し、さらに1991年にはエディンバラ大学ヨーロッパ研究所で同様の学位を得ている。2002年からは東京大学大学院法学政治学研究科の客員教授に就任し、2003年からは早稲田大学ビジネススクールの客員教授も兼務している。2008年には野村総合研究所の主席研究員に昇進した。

役職と委員歴

大崎氏は、金融庁の金融審議会や経済産業省産業構造審議会の委員として活躍し、証券取引所や日本証券業協会の制度改正に関わる重要な議論の場にも出席している。その専門的な知見を基に、日本の金融市場の改革に寄与している。

主な研究内容

仮想通貨と市場の動向

特に注目されるのは、2017年におけるビットコインの価格動向に関する大崎氏の見解である。彼は、短期的な利益を追求する投機マネーの影響でビットコイン等の価格が大きく変動する現象を、17世紀のオランダのチューリップバブルにたとえ、自身の見解を発表した。

女性投資家の増加

さらに、2014年には女性個人投資家の増加が市場において重要となってきたと指摘。彼は、女性の就業率上昇と晩婚化が、女性の資産運用への関心を高めていると分析し、今後の市場の変化を予見した。

日本における市場間競争

大崎氏は、日本の市場環境についても詳細に分析しており、1996年以降の金融ビッグバン以降、市場間競争が促進されていることを強調している。特に、2004年の証券取引法の改正や、2006年の金融商品取引法の改革が、競争環境を一変させたことを指摘している。

フェア・ディスクロージャーの考察

また、2016年から2017年にかけて金融庁が検討したフェア・ディスクロージャーについても見解を述べており、情報の公平な開示の重要性を強調すると同時に、規制によって情報の質が低下する可能性にも警鐘を鳴らしている。大崎氏は、規制当局が企業と投資家の間の健全な対話を促進すべきだと考えている。

顧客本位の業務運営

2017年に制定された「顧客本位の業務運営に関する原則」についても、大崎氏はその必要性と共に、金融機関が顧客に真摯に向き合うことの重要性を強調した。この原則が国民の安定的な資産形成に寄与するためには、単なる形式的な対応ではなく実質的な取り組みが求められると述べている。

主な著作

大崎氏の著作は、金融市場の改革や法制度に関する重要な見解を提供しており、主な著作には『フェア・ディスクロージャー・ルール』（2017年）や『金融構造改革の誤算』（2003年）がある。これらの著作は、彼の豊富な知識と洞察を反映したもので、多くの研究者や実務家に影響を与えている。

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