大平山元I遺跡

大平山元Ⅰ遺跡：縄文草創期の息吹を伝える史跡

青森県東津軽郡外ヶ浜町に位置する大平山元Ⅰ遺跡は、旧石器時代終末期から縄文時代草創期にかけての重要な遺跡です。2013年には国の史跡に指定され、2021年には「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

発掘調査と発見

1975年と1976年に青森県立郷土館によって、そして1998年には民家の建て替え工事に伴い旧蟹田町教育委員会によって発掘調査が行われました。特に旧蟹田町教育委員会の調査で出土した縄文土器は、世界最古級のものとして注目を集めています。

年代測定と意義

土器に付着した炭化物をAMS法で分析した結果、その年代は15,500年から16,500年前（暦年較正年代）に遡る可能性があることが示されました。また、旧石器時代の特徴を持つ石鏃も出土しており、これは世界最古の弓矢使用の証拠となる可能性を秘めています。

遺跡の概要

外ヶ浜町山元地区には、大平山元Ⅰ遺跡以外にも複数の縄文遺跡が点在しています。これらの遺跡から出土した石器や土器は、大山小学校跡地にある大山ふるさと資料館から、む～もん館に移設され、一般公開されています。

出土品

大平山元Ⅰ遺跡からは、石斧、石核、石鏃といった石器が出土しています。石器の材料は、地元の川で採取できる頁岩が主ですが、中には鯵ヶ沢町産の黒曜石を使用したものも見られます。

出土した土器は小破片ばかりで完全な形を留めるものはありませんが、文様がなく平らで角張った底を持つという特徴があります。土器の内側には炭化物が付着しており、煮炊きに使用されていたことが分かります。これは発見当時、世界最古の煮炊きの痕跡の一つと考えられていました。しかし、2012年に中国でより古い、1万9千～2万年前の焦げ痕のある土器が発見されています。

立地

遺跡は現在、民家に挟まれた狭い空き地に位置しています。縄文時代には、田の近くの湿地帯に面した小高い場所に位置していたと考えられています。

む～もん館

2024年4月26日には、遺跡に隣接するガイダンス施設「む～もん館」がオープンし、遺跡に関する情報提供や展示が行われています。

大平山元Ⅰ遺跡は、縄文時代の始まりにおける人々の生活や文化を知る上で非常に重要な遺跡です。世界文化遺産にも登録されたこの場所で、悠久の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

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