大庭美夏

大庭美夏

大庭美夏（おおば みか）氏は、1969年8月1日、静岡県沼津市に生まれた日本の元女流棋士です。佐瀬勇次名誉九段に師事し、日本女子プロ将棋協会（LPSA）に所属しました。女流将棋界に新たな流れを生み出すべく設立されたLPSAの創設メンバーとして深く関与し、その運営に専念するため、2006年12月に現役生活を終えました。

経歴

大庭氏は、1984年に女流育成会が創設されたと同時にその門を叩きました。プロへの狭き門を目指すこの育成会に、大庭氏は実に14年間という史上最長の期間、籍を置きました。この長い研鑽の日々の中で、NHKの将棋講座において、塚田泰明九段、淡路仁茂九段、中原誠十六世名人、浦野真彦九段といった錚々たる棋士たちのアシスタントを務めるなど、メディアにも登場し、将棋ファンにはお馴染みの存在でした。

家族もまた将棋に深く関わっており、妹の大庭美樹氏、そして娘の礒谷真帆氏も女流棋士です。妹の美樹氏とは、育成会時代はプロと育成会という立場の違いや誤解から関係がぎくしゃくした時期もありましたが、互いが将棋界で歩む道を経て、次第に理解を深め合い、良い関係を築いていきました。

長年の育成会での努力が実を結び、大庭氏は1998年4月1日付けで女流2級としてプロ棋士の仲間入りを果たしました。これは、1997年度の女流育成会Aクラスで、前期（同年4月～10月）に11勝3敗、後期（同年10月～1998年3月）に13勝3敗という好成績を収め、2期連続でプロ昇級に必要な順位の次点となり、かつ2期通算の勝率が7割5分以上という、当時の規定を満たしたことによる理事会承認での昇級でした。

プロ入りから8年が経過した2006年12月、大庭氏は現役からの引退を発表しました。この決断は、日本女子プロ将棋協会（LPSA）という新しい団体の設立準備と、その後の事務局運営に注力するためでした。翌2007年にはLPSAへと正式に移籍し、2014年2月までは理事としても団体の発展に貢献しました。LPSA所属時の番号は15、日本将棋連盟所属時の女流棋士番号は44でした。

また、同年代の女流棋士には、同門でもある中井広恵女流六段がおり、小学生時代には林葉直子氏と共に将棋イベントに参加するなど、若い頃から将棋界で交流を深めてきました。

昇段履歴

1984年04月00日 - 女流育成会入会
1998年04月01日 - 女流2級（育成会規定により）
2006年12月31日 - 現役引退
2007年04月01日 - 女流1級（女流棋士引退規定により）
* 2016年04月01日 - 女流初段（LPSA理事会審議により）

大庭美夏氏は、育成会での地道な努力、プロとしての活動、そして新しい女流棋士の活動の場を創出するためのLPSA設立への献身と、多角的な視点から女流将棋界を支え続けた棋士と言えるでしょう。家族と共に将棋界に貢献するその姿勢は、多くの関係者やファンにとって記憶に残るものです。

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