大怪獣バラン

大怪獣バラン

『大怪獣バラン』は、1958年に公開された東宝の怪獣映画で、モノクロ映像で描かれた典型的な特撮作品です。この映画は、特にその深い叙事詩的な内容やキャラクターの描写で知られています。また、劇中に登場するバランという巨大な怪獣は、物語の中心となる重要な存在です。

ストーリー概要

ストーリーは、東北地方の秘境で発見されたアカボシウスバシロチョウから始まります。この蝶は本来シベリアに生息しているものとされ、その不思議な存在に引かれた杉本生物研究所の所員たちが調査に向かいます。しかし、調査の最中に彼らは果てしなく謎の死を迎えます。これを受け、杉本博士の助手である魚崎と、犠牲になった所員の妹である由利子、カメラマンの堀口が現地へ向かいます。

彼らは隔絶された集落、岩屋村と出会います。この村には、神主がいて湖に潜んでいる怪物、婆羅陀魏山神の伝説があります。神主は村を守るため、それを信じて村人を守ろうとしますが、魚崎は迷信に固執する村人たちに対して激怒し、子供の救出を試みます。そこで怪獣バランが突如現れ、村を破壊し始めます。

バランの特性

バランは、中生代の生き残りである肉食の巨大な爬虫類であり、水陸両方で行動できます。特にその能力は、四足歩行と二足での立ち上がり、さらには薄い飛膜を広げて滑空することができるため、陸海空すべての舞台で活動可能です。彼の外見は皮膚で覆われ、その特徴的な角と有毒のとげが印象的です。

自衛隊の攻撃

現地でバランの脅威に直面した魚崎らは、自衛隊の協力を得てバランの撃退を試みます。しかし、銚子沖での自衛隊の攻撃もバランには通用しません。最終的に、藤村博士の開発した特殊火薬が使用されますが、その効果には懐疑的な見解が示されます。量を誤った魚崎はトラックを利用した攻撃を試みますが、効果が上がらず焦りが募ります。ついには、特殊火薬を活用した照明弾の作戦が成功し、バランを撃破することに成功します。

制作の工夫

この映画の制作にあたっては、特撮の仕組みや演出に工夫が凝らされています。特にバランの造形は、昭和の特撮映画の中でも注目されており、透明感を出すための工夫や特技監督円谷英二によるリアルな演出がされています。スーツアクターの手塚勝巳と中島春雄はそれぞれ水上と陸のシーンを担当し、実際に水中での撮影を行った結果、手塚が感電するトラブルも発生しました。

映画の評価

『大怪獣バラン』は日本国内外でさまざまな評価を受けてきました。特にアメリカで公開された際は、大幅な改変が行われ『Varan the Unbelievable』というタイトルで親しまれましたが、オリジナルのストーリーやキャラクター設定は残念ながら改変されてしまいました。国内では特に特撮怪獣映画の重要な作品として記憶されています。

バランは、その特殊な能力や外見から、後の怪獣映画に大きな影響を与えたと考えられており、現在も多くのファンに支持されています。特撮ファンにとっては、特に思い入れのある作品であり、怪獣映画の発展を語る上で欠かせない存在となっています。

もう一度検索