大手町駅 (愛媛県)

大手町駅の概要

愛媛県松山市大手町二丁目に位置する伊予鉄道大手町駅は、同社の運営する高浜線（鉄道線）と大手町線（軌道線、いわゆる路面電車）が接続する駅です。高浜線にはIY09、大手町線（大手町駅前停留場）には04の駅番号が付与されています。この駅は、郊外と中心部を結ぶ鉄道と、市内を巡る路面電車の主要な乗り換え地点の一つであり、松山市内の交通ネットワークにおいて重要な役割を担っています。

全国でも珍しい「ダイヤモンドクロス」

大手町駅の最も特筆すべき特徴は、駅のすぐそばで伊予鉄道高浜線（鉄道）の線路と大手町線（軌道）の線路が平面で直角に交差している点です。これは「ダイヤモンドクロス」や「十字クロス」と呼ばれる珍しい施設であり、かつては路面電車が全国各地で運行されていた時代には比較的よく見られましたが、現在ではその多くが立体交差化や廃止によって姿を消しました。鉄軌道による平面交差としては、現在、全国でもこの大手町駅と隣接する古町駅でのみ見られる大変貴重な存在となっています。鉄道ファンだけでなく、多くの人々にとって興味深い光景を提供しています。

歴史

大手町駅の歴史は、まず高浜線の「江戸町駅」として始まります。これは1927年（昭和2年）4月3日に開業しました。その後、路面電車である大手町線にも駅が設けられ、1936年（昭和11年）5月1日には「江戸町駅前停留場」として開業しました。現在の「大手町駅」および「大手町駅前停留場」という名称に改称されたのは、両線ともに1953年（昭和28年）7月1日のことでした。以来、両線が乗り換えるターミナルとして機能しています。

駅構造

高浜線の駅は、線路に対して相対する形で配置された2面のホームと2本の線路を持つ地上駅で、駅員が配置されています。両ホームは地下通路で連絡していますが、この地下通路にはエレベーターなどのバリアフリー設備は設置されていません。このため、伊予鉄道高浜線の駅の中では、西衣山駅と共にバリアフリーへの対応が十分でない駅の一つとなっています。ホームの有効長は18メートル級の車両3両分の編成に対応しており、4両編成で運行される列車が停車する際には、進行方向の松山市駅寄り1両のドアを開閉しない「締切」扱いとして対応しています。

一方、大手町線の大手町駅前停留場は、高浜線の線路と平面交差する位置の近くに設置されています。市内線の1号線（環状線外回り）、2号線（環状線内回り）、そして5号線（JR松山駅前方面）が停車し、これらの路線を利用して松山市内の各方面へアクセスすることが可能です。

利用状況と駅周辺

大手町駅は、乗り換え駅として多くの利用があります。2014年のデータによれば、高浜線の一日の平均乗降人員は2626人、大手町線（駅前停留場）の一日の平均乗降人員は553人であり、これらを合わせた全体の乗降人員は3179人/日となっています。

駅周辺は松山市の中心部からはやや外れた位置にあり、オフィスビルやマンションなどが立ち並ぶ比較的落ち着いたエリアです。伊予鉄道の郊外線駅の中では、JR予讃線の松山駅に最も近い場所に位置しており、西へおよそ250メートルほどの距離です。周辺には、愛媛新聞社の本社ビルや四国ガスの本社、同社のショールームであるPiPOT松山、松山市民病院、ホテルニューカジワラなどの主要な施設があります。

接続交通と隣の駅

大手町駅周辺にはバス停留所も整備されています。駅前の大手町バス停からは、伊予鉄バスやJR四国バスの路線が発着しており、周辺地域や他方面へのアクセス手段を提供しています。また、ホテルニューカジワラ西隣には松山駅東バス停もあり、こちらも利用可能です。

伊予鉄道における大手町駅の隣駅は以下の通りです。

高浜線：古町駅（IY08）- 大手町駅（IY09） - 松山市駅（IY10）
環状線（1号線・2号線）・5号線：西堀端停留場（03）- 大手町駅前停留場（04） - JR松山駅前停留場（05）

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