大政所

大政所（おおまんどころ）

大政所は、戦国時代から安土桃山時代に活躍した女性であり、豊臣秀吉およびその兄である豊臣秀長、さらには瑞龍院日秀と朝日姫の母として知られています。彼女の生年は永正13年（1516年）で、尾張国愛知郡の御器所村、現在の名古屋市昭和区に生まれたとされています。その名前は仲（なか）で、後に春岩という法名と天瑞院という院号を持ちました。

彼女にはいくつかの姉妹がおり、子供たちも含めて多くの著名な武将や政治家と縁がありました。特に、妹である栄松院は小出秀政の正室、大恩院は青木秀以の母、松雲院は福島正則の母として知られています。また、従妹の聖林院は加藤清正の母でした。彼女は、織田家に仕えていた足軽の木下弥右衛門に嫁ぎ、日秀と秀吉を生むことになります。

婚姻と家族の歴史

天文12年（1543年）の1月2日、仲の最初の夫である弥右衛門が亡くなると、彼女は竹阿弥と再婚します。竹阿弥との間に秀長と朝日姫をもうけましたが、当時、秀長は3歳、朝日姫は1歳であったため、仲は非常に若い子供たちを抱えながら再婚していることになります。竹阿弥もまた早逝し、その後仲は長男の秀吉のもとに引き取られます。

仲は秀吉とともに大坂の大名家の繁栄を見守り、彼と北政所（おね）との親密な関係は多くの人々に知られました。本能寺の変の際には一緒に逃れ、秀吉の重要な瞬間にも側にいたと伝えられています。1585年、秀吉が関白に任命された際、仲は従一位に叙され、大政所の名を与えられました。

大政所の影響力

天正14年（1586年）、大政所は徳川家康を訪れる際の重要な仲介役を果たし、その行動が家康を秀吉のもとに導くきっかけとなりました。彼女の存在は、織田政権と徳川家との間の緊張関係を緩和する一助となったのです。病弱な時期もありましたが、彼女は常に秀吉に寄り添い、彼の成功を信じ、守り続けました。

また、秀吉との親密な関係を築くことで、仲は豊臣家の繁栄を助け、自身の宗教的な信仰心をも表現していました。彼女の死後も、秀吉は大政所のために多くの供養を行い、高野山や他の寺院に資金を寄付しました。

晩年と死去

1590年、仲は朝日姫を失うと深い悲しみに暮れ、健康がさらに悪化しました。彼女は秀吉に対して、死後のための準備を頼み、秀吉もそれを受け入れ、母のための寺院建設が行われました。彼女は1592年、仲が亡くなる直前に、秀長が先立った知らせを受け、秀吉が帰京する途中で彼女が亡くなったことを知るのです。享年77でした。秀吉は彼女の死に大変打ちひしがれ、哀悼の意を表しました。

墓所と遺族

大政所の遺骨は、大徳寺内の天瑞寺、高野山青巖寺、山科本国寺に収められ、彼女の子孫はその後も豊臣家を継承していきます。彼女の墓所は今も多くの人々に訪れられており、歴史的な意義を持っています。大政所はその影響力や家族を通じて、日本の歴史に名を残す人物として位置づけられています。彼女に関する作品や映像もたくさん作られ、今なお多くの人にその姿が語り継がれています。

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