従一位

従一位（じゅいちい）についての詳細

従一位は、日本の位階及び神階の一つで、正一位の下、正二位の上に位置する重要な位です。この官位は、律令制下において女性に与えられる最高位とされ、特に太政大臣や令外官である関白がこの位に叙せられることが多かったことが特徴です。従一位は特に、女王や臣下の女性たちに重要な地位を与える役割も果たしました。

従一位の歴史的背景

従一位は、平安時代以降、日本の官位制度が整備される中で、女性や非大臣の公卿にとって特別な意味を持ちました。例えば、大臣職には就けない羽林家や名家、半家の公卿が従一位に昇叙されるときには、准大臣が宣下される慣習が定着しました。江戸時代には、将軍が引退して大御所となり、さらに太政大臣に任ぜられた場合には従一位に昇叙されることがありました。このため、将軍やその母親が叙位される重要な事例が存在します。徳川家光の母、崇源院や、徳川綱吉の母、桂昌院がその例です。特に桂昌院は、従一位昇叙後に「一位様」と呼ばれ、その権威や地位が強調されました。

明治以降の従一位の展開

明治時代に入ると、従一位への昇叙はさらに拡大し、公爵の初叙に相当するとされました。また、公爵以下の爵位を持つ者も年齢に応じて従一位に昇叙されることができ、叙位は天皇から直接与えられることが特徴です。この時代において、従一位は実質的な最高位とされるようになりました。

また、正一位の叙位や贈位は稀であり、これは鎌倉時代以降、実際には三条実美に至るのみの生前叙位が認められ、その後は贈位も織田信長の例をはじめとする限られたケースが続いています。したがって、従一位は日本の位階制度における栄典としての最高位と考えられるようになりました。

生前叙位と現代の従一位

生前叙位は1916年に鷹司熙通の例を最後に行われておらず、原則的には死後に叙されることが一般的となっています。また、勲等では大勲位に相当します。日本国憲法の施行後、昭和天皇の側近に対して叙位が行われた例もありましたが、それも制約され、近年においては、内閣総理大臣として顕著な功績を有した人々に対する贈位や叙位の状態が続いています。

2019年には中曽根康弘に対して、2022年には安倍晋三に対して叙位が行われ、それ以降の従一位の扱いが注目されています。現代においても、従一位は日本の位階制度における重要な位置を占め続けています。従一位に叙された歴史的な人物のリストはそれぞれの時代に渡り、長い伝統と影響をもたらしてきたことが伺えます。

もう一度検索