大昇充宏

大昇 充宏の生涯と相撲界への貢献

大昇充宏（おおのぼり みつひろ）は、1950年代に活躍した大相撲力士であり、後に名跡を継承して後進の指導に注力した指導者として知られています。彼の本名は石田勇であり、1925年に長野県北佐久郡軽井沢町で生まれました。身長185cm、体重116kgという体格を生かし、彼は力士としての道を歩み始めました。

力士としての歩み

1941年1月、春日山部屋に入門し、初土俵を踏んだ大昇は、当初「藤川」という四股名で知られました。しかし、1946年に部屋が閉鎖されたことにより、彼は立浪部屋に移籍することになりました。1949年には「信州」という四股名で十両に昇進し、そこからまもなく「大昇」と改名しました。1951年1月の場所で念願の新入幕を達成し、翌5月場所では12勝3敗という素晴らしい成績を収め、初めての三賞となる敢闘賞を獲得しました。

彼の特技は長身を活かした「寄り」であり、多くの期待が寄せられましたが、その後、膝の故障に悩まされ、三役には届かない中堅力士としての地位に甘んじることとなりました。それでも、1955年1月場所では、横綱・栃錦相手に小手投げで勝利を挙げ、注目の選手となりました。その場所では最終的に10勝5敗の成績を残しましたが、その後は順調にはいかず、一度も三役には上がることができませんでした。

引退後の指導者として

1955年、大関名寄岩が引退し、春日山部屋が再興された際に彼は移籍を決断。1957年に引退を迎えた後は多くの名跡を借り、力士としての生活を続けました。そして1971年、名寄岩の死去に伴い春日山部屋を継承し、指導者としての新たな一歩を踏み出しました。彼は、理事や監事としても相撲界に貢献し、幕内力士として春日富士一人を育て上げました。

1982年から1986年にかけては、日本相撲協会の理事や監事として多くの業務を担いました。彼が指導した春日富士は、1990年には敢闘賞を受賞し、彼の指導が実った瞬間でもありました。大昇は、自身の努力と情熱を以って後進に道を示しました。

最後の日々と名跡の継承

彼の停年後、春日山部屋は一時消滅しましたが、その後は春日富士の手によって再興されました。大昇は名跡をおおよそ無償で譲渡したとされ、その意志は彼の弟子たちに受け継がれました。

2009年3月1日、彼は急性肺炎により83歳でこの世を去りました。大昇の生涯は、力士としての名声と、指導者としての情熱によって形成されたものであり、相撲界において大きな足跡を残しました。彼の努力と献身は、後世の力士たちに引き継がれていくことでしょう。

もう一度検索