大曲貴夫

大曲貴夫：国際的な視点を持つ感染症医療のパイオニア

大曲貴夫氏は、日本の感染症医療をリードする医師、医学者です。現在、国立国際医療研究センター副院長、同国際感染症センター長として活躍する傍ら、長崎大学、東北大学において客員教授も務めています。2015年には愛知医科大学より医学博士号を取得しています。

幼少期から医師への道

佐賀県で酪農家を営む両親のもとに生まれた大曲氏は、小学生時代に経験した病気の入院がきっかけで医師を志しました。佐賀医科大学医学部附属病院（現・佐賀大学医学部附属病院）での治療が、その後の進路選択に大きな影響を与えたのです。

佐賀県立武雄青陵高等学校時代には柔道部に所属し、光武則秋氏から指導を受けました。「文武両道」の精神を学び、教養の重要性を認識するようになった経験は、後の医師としての活動にも深く関わっています。進路指導では官僚への道を勧められましたが、幼少期の思いを貫き、医師の道を歩むことを決意しました。大曲氏自身、光武氏との出会いがなければ、異なる人生を送っていた可能性もあったと振り返っています。

国内外での研鑽と感染症医療への貢献

医師の道を歩み始めた大曲氏は、佐賀医科大学医学部（現・佐賀大学医学部）を卒業後、聖路加国際病院で研修医としてキャリアをスタートさせました。そこで出会った感染症の専門医、古川恵一氏（新潟大学医学部卒）は、大曲氏の人生に大きな影響を与えた恩師の一人となりました。

古川氏の勧めで、大曲氏は米国のThe University of Texas-Houston Medical School 感染症科（現McGovern Medical School）に留学。異なる医療環境や文化、人種差別といった経験を通して、世界的な視野を養いました。この経験は、日本の感染症医療を世界レベルに引き上げるという、大曲氏の目標達成に大きく貢献することになります。留学中、大曲氏は「診断と治療がしっかりとできる医師」になるという信念を確立しました。

帰国後、静岡県立静岡がんセンターで医長、部長として活躍し、その後、国立国際医療研究センターへと移り、国際疾病センター副センター長、国際感染症センター長などを歴任。現在も、AMR臨床リファレンスセンター長、総合感染症科科長などの要職を務め、日本の感染症医療の最前線で活躍しています。

人材育成への貢献と今後の展望

近年では、感染症有事に対応できる医療人材の育成に力を注いでいます。後進の指導にあたっては、光武氏から学んだ「教養を身につけなさい」という言葉を大切に伝えているとのことです。

大曲氏の経歴は、1997年の佐賀医科大学医学部卒業から始まり、聖路加国際病院内科研修医、テキサス大学メディカルスクール感染症科留学、静岡県立静岡がんセンターでの勤務、そして国立国際医療研究センターへの移籍と、国内外の第一線で研鑽を積んできました。2013年にはロンドン大学大学院でMaster of Science in Infectious Diseasesを取得するなど、常に自身の能力向上に努めています。

2023年9月1日には、新型コロナウイルス感染症対策推進会議委員にも就任するなど、その高い専門性と経験は、日本の感染症対策にも大きく貢献しています。大曲氏の今後の活躍にも、大きな期待が寄せられています。

所属学会

日本感染症学会
日本内科学会
* 日本化学療法学会

など、数多くの学会に所属し、積極的に活動を行っています。

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