大木戸森右エ門

大木戸 森右エ門の生涯

概要

大木戸森右エ門（おおきど もりえもん）は、1876年5月13日に兵庫県の魚崎村で生まれ、1930年11月7日に54歳で亡くなった。彼は湊部屋に所属し、相撲界で第23代横綱の地位に輝いた。本名は内田光蔵（うちだ みつぞう）で、横綱としてのキャリアを通じて、数々の伝説や逸話が残されている。

早年の活動

森右エ門は酒樽製造業を営む家庭で育ち、その体格から地元での子供相撲で一際目立っていた。彼は草相撲を通じて力士としての素質を見出され、日清戦争中に知り合った相撲界の仲間の助けで、1896年に湊部屋に入門した。当初は「大城戸平八」の名で初土俵を踏んだ後、1898年に現在の名に改名した。

大坂相撲での活躍

大木戸は大坂相撲において圧倒的な力を誇り、初の公認横綱若島権四郎に唯一対抗できる存在とされていた。1904年には小結、同年の5月には関脇に昇進し、1905年には大関に至った。彼はまた、大坂相撲と東京相撲との合併興行の際には、常陸山に稽古をつけられ、その結果としてさらなる出世を果たした。しかし、彼の人気と実力は、大坂相撲と東京相撲との対立の影響を受けることとなる。

横綱免許を巡るトラブル

1909年、大木戸の優れた成績を受け、大坂相撲は横綱免許を申請したが、吉田司家は断固としてこれを拒否した。合併興行での成績が良くなかったため、この申請は難航した。その後、大坂相撲は吉田司家を無視し、自主的に彼に対して横綱免許を授与するに至ったが、それが引き金となり、相撲界は激しい対立を深めることとなった。再度の交渉を経て、大木戸は遂に公認横綱となるが、その名声は波乱の中で築かれたものであった。

引退までの道のり

横綱としてのデビュー後、彼は相撲界での地位を確立したが、1913年には脳溢血で倒れ、半身不随を余儀なくされる。これ以降は現役を続行することができず、最終的に横綱としての地位から退くこととなった。引退後は湊を名乗り、親方としての職務にはついたものの、健康は改善せず1916年には引退した。晩年には居酒屋を営みながら静かな生活を送り、健康問題が続く中で過ごしていった。

最期とその影響

大木戸は1930年に脳卒中のため息を引き取った。生涯独身であった彼は、身寄りがなく、最後の瞬間を迎えた。その遺体は大阪医科大学附属医院に献体され、死後も彼の存在は相撲界に影響を与え続けた。彼の出身地には「第二十三代横綱 大木戸森右エ門 生誕之碑」が建立されており、その名は今も語り継がれている。

まとめ

大木戸森右エ門は、大坂相撲の象徴ともいえる力士であり、その成績と不屈の闘志で多くのファンの記憶に残っている。彼の生涯は、相撲の歴史の中で特異な存在であり、横綱としての強さとともに、困難な時を如何に乗り越えたかを示す物語でもある。

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