大本

大本（おおもと）の概略

大本は、日本の神道系新宗教で、出口なおとその娘婿である出口王仁三郎によって設立されました。一般には「大本教」と称されることもありますが、正式な宗教名は「大本」となります。この宗教は、1956年に教派神道連合会に加入し、近代日本の歴史において重要な役割を果たしてきました。

創立の経緯

1892年2月3日、京都府綾部市に住む貧しい女性・出口なおに国祖である国常立尊が憑依し、神からの啓示が始まりました。この出来事は大本の創立年とされています。その後、なおと王仁三郎が教団の組織構築を進め、彼らの教えは多くの信者に広がっていきました。

王仁三郎は出口なおの娘すみの夫であり、その後なおの養子となりました。なおが神示をお筆先によって記録する一方で、王仁三郎は神懸かりを通じてメッセージを受け取っていきました。教えの中には「立替え・立直し」というテーマがあり、終末的な視点からの予言が含まれています。

教団の発展と事件

大本は順調に信徒を増やしましたが、政府当局の警戒を招くこととなり、1921年に王仁三郎らが不敬罪で逮捕される第一次大本事件が発生しました。この事件の後、王仁三郎たちは1927年に大赦を受け、布教活動を再開します。しかし、1935年には再び逮捕される第二次大本事件が発生します。

戦後も大本の活動は続きましたが、1980年には教団内での後継者を巡る争いが勃発しました。これにより、教団は大きく分裂し、複数の教派が誕生しました。これが第三次大本事件と呼ばれる出来事です。

教典と教義

大本にはいくつかの教典が存在します。最も重要なものとしては『大本神諭』があります。これは国常立尊からの神示の集大成であり、日本の歴史や未来についての予言が多く含まれています。また、王仁三郎が手がけた『霊界物語』も重要なテキストであり、神々や霊的な教訓についての物語が描かれています。

大本の教義は、「霊主体従」や「神人合一」といった信念に基づいています。宇宙は霊界と現界の二重構造を成し、無限の神の愛が広がっているという理解がなされている点が特徴的です。

儀式と信仰の特徴

大本の儀式は、一般的な神道のスタイルに似ている面もありますが、榊の代わりに松を使うなどの独自の要素もあります。信者たちは神々と交じり合うことを求め、この精神的な体験を通じて普遍愛に帰ることを目指しています。

総括

大本はその発祥以来、日本社会や宗教界に多大な影響を与えてきました。様々な事件や内部の対立を経ながらも、自らの信仰を守り続け、教義を継承しています。新たな宗教の流れにも影響を与えており、未だ多くの人々に支持され続けています。

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