大村勇

大村 勇

大村 勇（おおむら いさむ、1901年12月1日 - 1991年4月10日）は、日本のキリスト教界において、牧師としてまた指導者として多大な貢献を果たした人物です。特に、日本基督教団の総会議長や日本キリスト教協議会の議長を務めるなど、日本のプロテテスタント教会を牽引しました。教会一致（エキュメニカル）運動にも積極的に関わったことでも知られています。

生涯と経歴

大村勇は1901年（明治34年）12月1日、山梨県東山梨郡八幡村（現在の山梨市の一部）に生まれました。神学を志し、1928年（昭和3年）に青山学院神学部を卒業しました。卒業後、日本メソジスト教会で牧師としての歩みを始め、1928年から1931年（昭和6年）まで千葉教会に奉職しました。

その後、さらなる研鑽を積むため、1931年から1934年（昭和9年）にかけて渡米。アメリカ合衆国のボストン大学神学部で学び、専門分野における学位を取得しました。帰国後の1934年から1937年（昭和12年）には、日本メソジスト阿佐ヶ谷教会の牧師を務めながら、母校である青山学院神学部で講師としても教鞭を執り、後進の育成にも携わりました。

1937年からは青山学院神学部の部長として、神学教育機関の運営に責任を担う重要な立場に就きました。しかし、1940年（昭和15年）には再び阿佐ヶ谷教会に戻り、牧師として専従する道を選びました。翌年の1941年（昭和16年）6月、戦時下の体制のもとで日本のプロテスタント諸教会が合同し、日本基督教団が設立されると、阿部義宗監督らと共にこの新たな教団の教職となりました。

戦中・戦後の困難な時代を通して、大村勇は日本基督教団の教職として粘り強く奉仕を続けました。特に、阿佐ヶ谷教会においては長期にわたり牧師の任を務め、その期間は1975年（昭和50年）まで続きました。実に40年以上に及ぶ一箇所の教会での牧会活動は、彼の働きにおける大きな特徴の一つです。

キリスト教界における指導者として

地域の教会での働きに加え、大村勇は日本のキリスト教界全体において指導的な役割を果たしました。1962年（昭和37年）から1966年（昭和41年）にかけて、日本基督教団の最高責任者である第6代総会議長を二期にわたり務め、教団の運営と方針決定の中心を担いました。

また、日本の諸教会間の連携と協力を目指す日本キリスト教協議会（NCC）においても重要な役割を担い、1966年から1968年（昭和43年）までその議長を務めました。国際的な教会一致の動きとも連動したエキュメニカル運動の推進に力を尽くしました。

神学教育分野への貢献も大きく、1966年からは東京神学大学の理事長として、未来の教会指導者を育成するための基盤整備にも尽力しました。

これらの多岐にわたる分野での長年の功績と、日本のキリスト教界における指導者としての貢献が高く評価され、1983年（昭和58年）にはキリスト教功労者として顕彰されました。

主な著書・訳書

大村勇は、自身の信仰と思想を著作や翻訳を通して広く分かち合いました。主な著書として、1974年に出版された「主を求めよ、そして生きよ」があります。また、メソジストの創始者であるジョン・ウェスレーに関する「ジヨンウェスレイ小伝」の翻訳も手掛けています。

晩年

1991年（平成3年）4月10日、大村勇は90年の生涯を終えました。牧師として、教育者として、そして日本の主要なキリスト教団体の指導者として、その生涯を通じて日本のキリスト教会に確かな足跡を残しました。

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