大村卓一

大村卓一

大村卓一（おおむら たくいち、1872年3月21日 - 1946年3月5日）は、日本の鉄道官僚、実業家として、激動の時代を駆け抜けました。福井県に生まれ、札幌農学校工科を卒業後、鉄道の世界に足を踏み入れ、その手腕を発揮しました。

生涯

1872年（明治5年）に福井県で生を受けた大村は、1896年（明治29年）に札幌農学校工科を卒業。キリスト教徒でもありました。卒業後、北海道炭鉱鉄道株式会社に入社し、そのキャリアをスタートさせます。1906年（明治39年）には逓信省鉄道作業局へと転じ、官僚としての道を歩み始めます。

1925年（大正14年）5月には、朝鮮総督府鉄道局長に就任。鉄道事業の発展に尽力しました。その後、1932年（昭和7年）6月には関東軍交通監督部長、1935年（昭和10年）10月には南満洲鉄道副総裁と、要職を歴任します。

1939年（昭和14年）3月、大村は南満洲鉄道株式会社（満鉄）の総裁に就任。1943年7月14日までその職を務め、満鉄の経営を担いました。総裁退任後はしばらく著述に専念しますが、1945年（昭和20年）1月には満洲国大陸科学院長に就任します。

しかし、終戦後の1945年11月17日、満洲の通化で中国共産党軍によって南満洲鉄道総裁であったことを理由に抑留され、暴行を受けた後、海竜県で獄死という悲劇的な最期を遂げました。その遺骨は、多磨霊園に埋葬されています。

栄典

大村の功績は、数々の栄典にも示されています。

1926年（大正15年）12月1日 - 正四位
1920年（大正9年）11月1日 - 勲三等旭日中綬章
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

これらの栄典は、大村が日本の鉄道事業、そして満洲における事業に多大な貢献をしたことを物語っています。

大村卓一の死

大村卓一の死は、通化事件における悲劇の一つとして知られています。満鉄総裁という立場が、戦後の混乱の中で悲劇を生んでしまったと言えるでしょう。激動の時代を生き抜いた大村の生涯は、日本の近代史を考える上で重要な意味を持っています。

参考文献

秦郁彦「戦前期日本官僚制の制度・組織・人事」東京大学出版会
山崎元幹「大村元満鉄総裁終焉記」（満鉄会編・発行「満鉄最後の総裁・山崎元幹」所載）

関連項目

通化事件

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