大村博美

大村博美（おおむら ひろみ）は、日本の声楽家、オペラ歌手（ソプラノ）である。東京都に生まれ、声楽を志す。田園調布雙葉中学校・高等学校にて三浦智津子に師事し基礎を学び、東京藝術大学音楽学部声楽科を経て、同大学院独唱専攻を修了した。

大学院修了後、更なる技術向上を目指しイタリア・ミラノに渡り研鑽を積む。その後、フランス・パリ近郊に生活拠点を移し、本格的に国際舞台での活動を開始する。初期のキャリアにおいて、イタリアのマントヴァ市国際オペラコンクールでの最高位、レッジョ・エミリア市立歌劇場国際オペラコンクール第2位、フランスのパリ国際声楽コンクール オペラ部門第3位など、数々の国際コンクールで優秀な成績を収め、その才能を世界に知らしめた。特に、フランス・マルセイユ歌劇場国際オペラコンクールでの第1位および＜ライオンズ・クラブ・オペラ賞＞受賞は、その後の国際的なキャリアを大きく切り開く契機となった。また、イタリア・ヴェローナ市音楽協会より年間最優秀歌手として「Le Voci賞」を授与されている。

大村博美の活動範囲は極めて広く、ヨーロッパを中心に、北米、オーストラリア、中東、アジアなど世界各地の主要な歌劇場やコンサートホールで活躍している。イタリア、スペイン、オーストリア、イギリス、ドイツ、スイス、ポーランド、フィンランド、ラトビア、エストニアなどのヨーロッパ諸国に加え、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イスラエル、マレーシアなど多岐にわたる国々で公演を行った。

彼女のレパートリーは幅広く、モーツァルトからヴェルディ、プッチーニ、ベルリーニまで多岐にわたるが、中でもジャコモ・プッチーニ作曲のオペラ『蝶々夫人』のタイトルロール、蝶々夫人役は彼女の代表的な役として知られ、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、スイス、ポーランド、フィンランド、アメリカ、エストニア、イタリア、オーストラリアなど、世界各国の名門歌劇場で数多く演じ、絶賛を博している。また、フランスのパリオペラ＝コミック座で『ベアトリスとベネディクト』のエーロ役、フランスのシャンゼリゼ劇場でオラトリオ『エリアス』や『真夏の夜の夢』、フランスのナンシー国立歌劇場などで『イフィジニー』のディアーヌ役を演じるなど、ヨーロッパ各地で重要な役を担った。

日本国内における活動も行なっており、二期会会員として、2002年には二期会創立50周年記念公演『椿姫』でヴィオレッタ役を務め、日本での鮮烈なオペラデビューを飾った。新国立劇場においては、『フィガロの結婚』の伯爵夫人ロジーナ、『カルメン』のミカエラ、『蝶々夫人』、『道化師』のネッダ、『ドン・カルロ』のエリザベッタといった主要な役を演じている。その他、東京文化会館での主要オペラ公演や、トッパンホール、サントリーホールなどでのリサイタルやコンサートにも数多く出演し、日本国内のファンも多い。

メディアへの出演も豊富で、NHKのクラシック番組「ニューイヤーオペラコンサート」や「芸術劇場」、「クラシック倶楽部」などにたびたび登場している他、オペラ公演の映像ソフト化もされている。長年にわたりフランスを拠点に国際的なキャリアを築き、世界中の聴衆を魅了し続ける大村博美は、日本を代表する国際的なオペラ歌手の一人として、その地位を確立している。

二期会会員。

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