シャンゼリゼ劇場

シャンゼリゼ劇場（Théâtre des Champs-Élysées）は、フランスのパリ8区、モンテーニュ通りに位置する劇場です。その名前とは異なり、有名なシャンゼリゼ通り沿いにはありません。この劇場は、アール・デコ様式の初期を代表する建築物として高く評価されています。

歴史

1913年に完成したシャンゼリゼ劇場は、建築家オーギュスト・ペレによって設計されました。内部の装飾は、アントワーヌ・ブールデル、モーリス・ドニ、エドゥアール・ヴュイヤール、ケル・グザヴィエ・ルーセルといった著名な芸術家たちが担当しました。

この劇場の設立は、ジャーナリストであり興行主でもあったガブリエル・アストゥリュクの構想に基づいています。彼は、伝統的なオペラ座に対抗し、新しい時代の劇場にふさわしい現代的な作品を上演することを目指しました。その最初の試みとして、バレエ・リュス（ロシア・バレエ団）を迎え、最初のシーズンに臨むことになりました。

このシーズンは、クロード・ドビュッシーの『遊戯』(5月15日初演)や、イーゴリ・ストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』(5月29日初演)といった、音楽史において重要な作品の初演で彩られました。特に『春の祭典』は、その前衛的な音楽と振り付けが当時の観客に大きな衝撃を与え、大スキャンダルを巻き起こしたことで知られています。この事件は、音楽史における重要な転換点として語り継がれています。

当初、シャンゼリゼ劇場は私的な劇場としてスタートしましたが、劇場主であったアストリュクは経営難に陥り、同年8月には破産してしまいます。その後、1970年からはCaisse des Dépôts et Consignationsがスポンサーとなり、現在に至っています。

現状

現在、シャンゼリゼ劇場では年間3回オペラ公演が行われています。オーケストラピットの大きさの関係から、バロック時代の作品や小編成のオーケストラのための作品が上演されることが多いのが特徴です。

この劇場は、フランス国立管弦楽団とラムルー管弦楽団の二つのオーケストラの拠点となっています。また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団もフランスにおける活動拠点の一つとしており、頻繁に公演を行っています。その他、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団やパリ室内管弦楽団なども、シャンゼリゼ劇場で定期的にコンサートを開催しています。

オペラや管弦楽の公演以外にも、舞踏、室内楽、リサイタル、ポピュラー音楽など、多様なジャンルのイベントが開催されており、パリの文化的な中心地としての役割を果たしています。

関連項目

劇場
歌劇場

脚注

注釈・出典は省略

外部リンク

公式サイト

シャンゼリゼ劇場は、その歴史的な意義と現代的な活動を通じて、パリの芸術文化を象徴する存在であり続けています。

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