大東製機

大東製機株式会社：織機からオートバイ、そして工作機械へ

大東製機株式会社は、日本の工作機械メーカーとして知られていましたが、現在は存在しません。その歴史は、大東紡織の子会社として独立したことに始まります。当初は自動織機の製造が中心でしたが、意外な展開を見せます。

オートバイ製造への挑戦：伝説のDSK

1953年、大東製機はオートバイ製造に参入しました。ここで製造されたのが、BMWのオートバイを徹底的に模倣したDSKシリーズです。特に有名なのはDSK A-25、A-50、AB-25で、それぞれBMWのR-25、R-51、R-26をモデルとしています。ねじ一本に至るまでBMWと寸分違わぬコピーぶりは、当時の日本のオートバイ業界に衝撃を与えました。

この徹底的な模倣に気づいたBMWは、ドイツ本社から技術者を派遣して調査を実施しました。しかし、結果は意外なものでした。BMWは、大東製機に対し、日本国内での販売限定という条件付きで製造を許可したのです。

「デンスケ」の愛称で親しまれたDSKシリーズは、同クラスの他社製品より高価にもかかわらず、高い人気を誇りました。その高い品質と、BMWの技術が反映された精巧なつくりが評価された証でしょう。しかし、1957年に発生した工場火災により、オートバイ生産は残念ながら中止。その後、販売ディーラーの協力を得てDSK自動車工業を再興する試みもありましたが、長くは続きませんでした。

事業転換と統合

オートバイ事業からの撤退後、大東製機は工作機械製造に事業を集中しました。2004年にはTHKの傘下となり、織機事業からも撤退。そして2009年7月1日、株式会社ベルデックスとの事業統合により、『THKインテックス株式会社』として新たな歴史を歩み始めました。大東製機の歴史は、時代の変化に対応しながら、常に技術革新に挑戦し続けたメーカーとしての物語として記憶されています。

大東製機のBMWコピー車以外にも、岩田工業BIM、ダイハツツバサG120、陸王陸王FといったBMWコピーモデルが存在しました。これらのモデルも、日本の戦後復興期における、技術開発と模倣の複雑な関係を象徴する存在と言えるでしょう。

大東製機の歴史は、日本の高度経済成長期における工業技術発展の一端を示す貴重な事例であり、現在ではTHKインテックス株式会社としてその技術と経験が受け継がれています。

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