大森ワークス

大森ワークスの概要

大森ワークス（おおもりワークス）は、1960年代から1970年代にかけて日産自動車のワークスチームとして存在しました。東京の品川区南大井に事業所を構え、京浜急行電鉄の大森海岸駅に近いことから、この名前で知られています。大森ワークスは、現在の「ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル（NISMO）」の前身であるという点でも、その重要性を見逃せません。

チームの役割と発展

大森ワークスは、日産内で最も著名な追浜ワークスと対照的に、ツーリングカーの開発を主な任務としていました。この結果、日産社内では「二軍」として扱われることがしばしばありましたが、実際には、数多くの優れたドライバーやメカニックが集い、日本のモータースポーツの発展に寄与していました。

初期の頃、大森ワークスは東京都港区三田に所在し、そこから品川区南大井へ移転しました。1964年頃には、契約ドライバーが城北ライダースの作業場に車両を持ち込み、自らマシンを製作することもありましたが、1965年以降は日産社内での製作に移行します。この頃は、ドライバーと社員メカニックの協力のもと、マシン製作が行われていましたが、数年後にはドライバーの製作作業は終了しました。

活動内容と影響

大森ワークスのドライバーたちは、一般市販車を改造したツーリングカーやGTカーでレースに挑みました。レースや走行テストのない日には、「モータースポーツ相談室」でアマチュアドライバーの相談を受けたり、レース用パーツの販売を行ったりしました。一方で、追浜ワークスに比べて地味な存在であった大森ワークスは、その地位に甘んじることなく、多くの才能を発掘しました。特に、鈴木誠一を代表とする「マシン作りができるドライバー」が在籍したことは、大きな成果と言えるでしょう。

1970年、日本グランプリの開催が中止されると、追浜ワークスがツーリングカー活動を開始しました。この結果、大森ワークスの活動は次第に縮小し、1974年には日産がツーリングカーレースへの参戦を中止しました。このことにより、多くの契約ドライバーが独立する道を選ぶこととなりますが、レース用パーツの開発・供給は細々と続けられ、結果的にNISMOの設立へと繋がることになりました。現状では、大森ワークスの本社跡地はマンションに変更されています。

主なドライバーの紹介

大森ワークスには著名なドライバーが在籍していました。

• - 鈴木誠一：1964年にワークスにスポット加入し、その後正式契約。日本グランプリに参加し、リーダーとして知られる。
• - 津々見友彦：1964年に契約し、日本グランプリで活躍。後にトヨタワークスに移籍。
• - 黒澤元治：1965年に加入、モトクロスライダーから転身し、追浜ワークスに昇格。
• - 都平健二：1965年加入、モトクロスからレース活動へ。
• - 長谷見昌弘：同年に加入し、追浜ワークスに復帰。

他にも様々なドライバーが大森ワークスを盛り上げ、チームの歴史を築く一因となりました。彼らの活躍は、日本の自動車レースの発展に貢献し、現在に続くモータースポーツ文化の礎となっています。

もう一度検索