ツーリングカー

ツーリングカーについて

ツーリングカー（touring car）は、一般的にスポーツカーに対する通常の乗用車を指す自動車のカテゴリの一つです。20世紀初頭、特に1900年代から1930年代にかけて、その名称と形態が広く使われていました。このボディスタイルは、当初は比較的大型で、屋根のないタイプが主流でした。

自動車黎明期とツーリングカーの歴史

ツーリングカーは、歴史的に見ると、最初は「ツアラー」という別名でも知られ、ラナバウトやロードスターに比べて大きなサイズが特徴でした。通常、折りたたみ式の幌を装備しており、後部にはトノーと呼ばれるシートエリアを持ち、4人以上の乗員が快適に乗れるよう設計されていました。このスタイルは現代のセダンやサルーンボディスタイルの基盤となっています。

米国では、1910年代半ばまでには、様々なバリエーションのツーリングカーが生産されました。特にフォード社のモデルTは、1908年から1927年までの間に5人乗りのツーリングカーとして人気を集めました。この車種は、初期には4ドアでしたが、その後、運転席の外側に予備ホイールが設置される形で、3ドア（1+2ドア）に変更されています。およそ1,500万台が製造され、その約44％に相当する652万台がツーリングカーの形態でした。

この車両には、悪天候時に乗員を守るためのサイド・カーテンが付属することもありました。これがなければ、ドライバーや同乗者は雨風にさらされることになります。屋根は後部に「ファン」と呼ばれる形で畳まれ、これを保護するためのカバーも使用されていました。

ツーリングカーの衰退と日本における位置づけ

1920年代初頭になると、ツーリングカーの人気は衰退し、さらにクローズドボディタイプの乗用車が経済的に手に入りやすくなったためです。この結果、オープンタイプのツーリングカー主流の時代は終息を迎えました。また、日本工業規格（JIS）においても、ツーリングカーは一般的な乗用車のカテゴリーの一部として位置づけられています。

モータースポーツとツーリングカー

モータースポーツの分野においては、市販車を改造したものや市販車に似た形状をした車両で行われるレースが「ツーリングカーレース」と呼ばれます。ここで使用される車両は、日本の場合、一般的に「ハコ車」や「箱型」と呼ばれ、市販車に近い状態のものが多く見受けられます。さらに、改造の範囲はレースによって異なり、一部のレースでは改造が無制限となる場合もあります。

2021年現在、ツーリングカーのレースに関する国際的な規格としては、グループA、グループN、及びTCRが存在し、これらの形式は様々なイベントで盛んに行われています。また、過去には世界ツーリングカー選手権（WTCC）や全日本ツーリングカー選手権（JTC）なども存在しました。

結論

このように、ツーリングカーは自動車の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。その変遷は、単一のスタイルにとどまらず、モータースポーツや乗用車の分類にまで影響を与え、産業の進化を後押ししてきました。これからもその重要性は変わらず存在し続けるでしょう。

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