大森貝塚

大森貝塚：モースが発見した縄文時代の遺跡

大森貝塚は、東京都品川区と大田区にまたがる、縄文時代後期から末期にかけての貝塚です。1877年、アメリカ人動物学者エドワード・S・モースによって発見されたことから、「モース貝塚」とも呼ばれています。

歴史

モースは、横浜から新橋へ向かう列車の中から、貝殻が積み重なっている崖を発見しました。政府の許可を得て発掘調査を行った結果、土器や骨器、獣骨などが大量に出土しました。これらの出土品は、現在東京大学に保管されており、1975年に国の重要文化財に指定されています。

1955年には、大森貝塚は国の史跡に指定されました。

2つの貝塚碑

現在、大森貝塚に関する石碑は、品川区側の大森貝塚遺跡庭園内と、大田区側の大森駅近くの2ヶ所に存在します。それぞれの石碑には異なった名称と碑文が刻まれており、建立された時期も異なります。

当初、モースの報告書の記述から、発掘地点が品川区と大田区のどちらであるか議論がありました。しかし、その後の調査で、品川区側で調査が行われたことが判明しました。現在では、二つの碑は約300メートルの距離に位置しています。

モースと小シーボルト

大森貝塚の発掘には、モースの他に、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの次男であるハインリヒ・フォン・シーボルトも関わっていました。ハインリヒは考古学に精通しており、モースに先駆けて大森貝塚の発掘を行っていた可能性も指摘されています。モースとハインリヒは、第一発見者の功績を巡って論争を繰り広げました。

最終的に、モースが報告書を出版したことや、ハインリヒが外交官としての業務に専念したことから、モースの功績として広く知られるようになりました。しかし、ハインリヒの研究も日本の考古学の発展に大きく貢献しており、彼が出版した「考古説略」は、日本で初めて考古学という言葉を使ったものとして知られています。

時代背景

縄文時代後期は、寒冷化に伴い食料が不足した時代でした。特に、東京や神奈川では火山噴火の影響も重なり、人口が減少しました。そのような状況下で、人々は海産物を中心とした食料確保を行い、貝塚が形成されたと考えられています。

文化財

重要文化財（国指定）：大森貝塚出土品
国の史跡：大森貝塚

交通機関

大森貝塚遺跡庭園：JR大森駅北口より徒歩5分
大森貝墟碑：JR大森駅北口より徒歩2分

大森貝塚は、日本の考古学研究の出発点となった重要な遺跡です。モースによる発見から今日に至るまで、多くの研究者によって調査が行われ、縄文時代の生活や文化を知る上で貴重な資料を提供しています。遺跡を訪れることで、古代の人々の暮らしに思いを馳せ、歴史の奥深さを感じることができるでしょう。

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