大正時代の日本の勅令一覧

大正時代（1912年7月30日～1926年12月25日）は、明治時代に引き続き、日本の近代化が急速に進展した時代です。この時代には、大日本帝国憲法に基づいて数多くの勅令が発布され、社会の様々な側面を規制し、新たな制度を導入しました。ここでは、大正時代に発布された主な勅令について、その内容と時代背景を解説します。

大正元年の勅令

大正元年（1912年）は、明治天皇の崩御と大正天皇の即位という、日本の歴史における大きな転換期でした。そのため、この年には、大喪に関する勅令が数多く発布されています。

大喪使官制（勅令第1号）: 明治天皇の大喪に関する事務を掌る機関の設置を定めたもの。
廃朝中服役特免等ニ関スル件（勅令第2号）: 大喪期間中の服役免除などに関する規定。

また、朝鮮や台湾といった日本の植民地に関する勅令も多く発布されました。

朝鮮総督府高等土地調査委員会官制（勅令第3号）: 朝鮮における土地調査事業を推進するための機関設置。
台湾総督府専売局官制中改正（勅令第22号）: 台湾における専売制度を強化するための改正。

大正2年の勅令

大正2年(1913年)には、軍事関連の勅令が多く見られます。これは、当時の国際情勢や日本の国防意識の高まりを反映しています。

軍用ノ飛行機又ハ気球ニ乗シ航空演習ニ従事スル者ニ一時賜金ヲ給与スルノ件（勅令第9号）: 航空戦力の育成を目的とした施策。
海軍特修兵令（勅令第26号）: 海軍の専門技術兵を養成するための制度。

教育関連の勅令も発布され、教育制度の整備が進められました。

高等中学校令中改正ノ件（勅令第18号）: 高等中学校の制度改正。
東北帝国大学官制中改正ノ件（勅令第36号）: 東北帝国大学の制度改正。

大正3年の勅令

大正3年（1914年）は、第一次世界大戦が勃発した年であり、日本の社会にも大きな影響を与えました。そのため、この年には、戦時体制に対応するための勅令が発布されています。

海軍旗章令（大正3年勅令第11号）: 海軍旗章に関する規定。
砂糖消費税法施行規則中改正ノ件（大正3年勅令第34号）: 戦時財源を確保するための増税。
憲法第七十一条ニ依リ大正二年度一般会計所属予算ヲ大正三年度ニ於テ施行スルノ件（大正3年勅令第40号): 第一次世界大戦勃発により、予算編成が困難になったことを受け、前年度予算を流用するための措置。

大正4年の勅令

大正4年（1915年）は、第一次世界大戦が継続する中、日本は二十一か条の要求を中国に突きつけ、国際的な緊張が高まった年でした。国内では、大礼記念章制定など慶事も行われました。

大正三四年従軍記章令（大正4年勅令第203号）: 第一次世界大戦への従軍を記念した記章の制定。
大礼記念章制定ノ件（大正4年勅令第154号）: 大正天皇の即位大礼を記念した記章の制定。

大正5年の勅令

大正5年（1916年）には、伝染病研究所官制の制定などが見られます。

伝染病研究所官制（大正5年勅令第47号）: 伝染病の研究機関に関する規定。

大正6年の勅令

大正6年（1917年）には、請願令の制定や対敵取引禁止令などが見られます。

請願令（大正6年勅令第37号）: 請願に関する規定。
対敵取引禁止令（大正6年勅令第41号）: 第一次世界大戦下における敵国との取引を禁止する規定。

大正7年の勅令

大正7年（1918年）には、大学令の制定などが見られます。

大学令（大正7年勅令第388号）: 大学の設立や運営に関する規定。

大正8年の勅令

大正8年（1919年）には、臨時議院建築局官制の制定などが見られます。

臨時議院建築局官制（大正7年勅令第209号）: 国会議事堂の建設に関する事務を掌る機関の設置。

大正9年の勅令

大正9年（1920年）には、航空局官制の制定や戦捷記章令などが見られます。

航空局官制（大正9年勅令第224号）: 航空行政を掌る機関の設置。
戦捷記章令（大正9年勅令第406号）: 第一次世界大戦の勝利を記念した記章の制定。

大正10年の勅令

大正10年(1921年)には、社会事業調査会官制の制定などが見られます。

社会事業調査会官制（大正10年勅令第1号）: 社会事業に関する調査機関に関する規定。

大正11年の勅令

大正11年(1922年)には、旅順工科大学官制の制定などが見られます。

旅順工科大学官制（大正11年勅令第160号）: 関東州における高等教育機関に関する規定。

大正12年の勅令

大正12年(1923年)には、対支文化事業調査会官制の制定などが見られます。

対支文化事業調査会官制（大正12年勅令第527号）: 中国における文化事業に関する規定。

大正13年の勅令

大正13年(1924年)には、関東州会制の制定などが見られます。

関東州会制（大正13年勅令第238号）: 関東州における地方自治に関する規定。

大正14年の勅令

大正14年(1925年)には、関東州及南満洲鉄道附属地ニ於ケル行政執行ニ関スル件などの勅令が見られます。

関東州及南満洲鉄道附属地ニ於ケル行政執行ニ関スル件（大正14年勅令第316号): 関東州における行政に関する規定。

大正15年の勅令

大正15年(1926年)には、関東州公立学校官制の制定などが見られます。

関東州公立学校官制（大正15年勅令第194号）: 関東州における教育制度に関する規定。

まとめ

大正時代の勅令は、日本の近代化、植民地支配、戦時体制、社会政策など、多岐にわたる側面を反映しています。これらの勅令を詳細に分析することで、大正時代の日本社会の構造や変遷をより深く理解することができます。

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