大正橋 (福島県伊達市)

大正橋について

大正橋（たいしょうばし）は、福島県伊達市の阿武隈川に架かる福島県道125号保原桑折線の道路橋です。この橋は1972年に開通し、河川の運行や地域の交通において重要な役割を果たしています。全長280.1メートル、幅8.5メートルの鋼合成ゲルバーI桁橋であり、その形状と構造は技術的にも注目されています。

橋の概要

大正橋は、阿武隈川北東部の伏黒地区を横断しています。この橋は、1972年に開通したもので、地域にとって重要なインフラの一部です。特筆すべきは、部分合成桁の橋梁として福島県内で初めてニューマチックケーソン基礎が採用されている点です。これにより、橋の耐久性や安定性が向上しています。また、橋のたもとには福島交通の大正橋バス停が設けられ、地域住民の交通利便性を高めています。

歴史的背景

大正橋の歴史は1903年にさかのぼります。当初、付近には伏黒舟場という渡船場が存在していましたが、その後初代の木製橋が架けられ、万世橋と名付けられました。しかし、1912年に発生した阿武隈川の大水によって万世橋は流出しました。これに伴い、地域住民からは新たな橋の架け替えを求める声が上がりました。

架替え計画は、郡役所がある東岸の桑折側からの動きによって進展しました。住民が橋の建設に向けた費用を提供する代わりに、議会に根回しが行われました。その結果、橋の位置は元の万世橋から伏黒舟場へと移されることが決定されました。

この変更に対し、長岡地区の住民は反発を示し、「伊達橋騒擾事件」が発生しました。多くの人々が抗議活動を行い、議員への攻撃も発生した結果、多数の逮捕者を出す事態となりました。

その後、橋の建設は1915年に始まり、1917年に完成し、大正橋と命名されました。全長218メートル、幅5.4メートルの下路式鋼単純トラス橋として建設され、当時の工費は99,500円でした。1929年には、下路式プラットトラス橋の継ぎ足し工事が行われ、橋の構造が強化されました。

モータリゼーションと架け替え

1922年には、保原から桑折間の軌道線が開通しますが、運行は長岡村営の伊達橋に集中し、利用者が減少しました。その後、モータリゼーションが進展すると、大正橋は次第に手狭になり、最終的には制限が設けられるようになります。1971年には架け替え工事が始まり、1972年に現行の橋が完成しました。

地震の影響

2011年に発生した東北地方太平洋沖地震では、大正橋も影響を受けました。落橋防止装置などの損傷が見られ、一時通行止めとなりましたが、同年7月には全面復旧が行われました。この事例は、地域交通の大切な役割を再認識させました。

まとめ

大正橋は、その歴史や構造からも地域にとって欠かせない存在です。今後も、この橋が伊達市の発展と人々の生活を支え続けていくことでしょう。

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