大正12年度艦艇補充計画

大正12年度艦艇補充計画

大正12年度艦艇補充計画は、1923年（大正12年）度から開始された日本海軍の軍備計画です。この計画は、ワシントン軍縮条約締結後の海軍の戦力整備を目的としており、主力艦の建造が制限される中で、補助艦艇の充実を図るものでした。

計画の背景

1922年（大正11年）のワシントン軍縮条約により、日本海軍は主力艦の建造計画を大幅に見直す必要に迫られました。条約によって、建造中であった主力艦は全て建造中止となり、未着工の艦艇も計画が中止されました。これにより、八八艦隊計画は大幅に縮小され、補助艦艇の建造計画も大幅な見直しが行われました。

計画の概要

当初、八八艦隊計画に含まれていた艦艇のうち、1922年度までに着手された艦艇は引き続き建造されましたが、1923年度以降に着手予定だった艦艇については計画が見直され、未着手であった110隻以上から77隻（実際に建造されたのは71隻）に削減されました。特に、二等駆逐艦と潜水艦の建造数が大幅に削減されました。

予算

計画の予算は、一部が八八艦隊計画から引き継がれた「軍艦補充費」から、残りは新たに設けられた「補助艦艇建造費」から支出されました。第46帝国議会では、軍艦製造費として約1億2300万円、補助艦艇建造費として約3億6800万円が承認されました。

建造艦艇

大正12年度艦艇補充計画で建造された主な艦艇は以下の通りです。

航空母艦: 赤城と加賀の2隻が、未成の巡洋[[戦艦]]を改装して空母となりました。
巡洋艦: 古鷹型、青葉型、妙高型の計8隻が建造されました。これにより、重巡洋艦の戦力増強が図られました。
駆逐艦: 神風型、睦月型、吹雪型を合わせて21隻が建造されました。この計画により、駆逐艦の戦力が大幅に強化されました。
潜水艦: 巡潜1型、機雷潜型、大型、L4型の計28隻が建造されました。これにより、潜水艦隊の戦力が拡充されました。
その他: 水雷母艦、敷設艦、急設網艦、捕獲網艦、掃海艇、運送艦などが建造されました。

主力艦の改装

この計画では、長門型戦艦を除く主力艦8隻の改装予算も承認されました。これは、第一次世界大戦での戦訓を基に、水平防御の強化を目的とするものでした。

計画の影響

大正12年度艦艇補充計画は、ワシントン軍縮条約による制約の中で、日本海軍が戦力維持・増強を図るための重要な計画でした。主力艦の建造は中止されましたが、補助艦艇の充実と既存艦艇の改装により、海軍の戦力は一定程度維持されました。

参考文献

防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 海軍軍戦備<1> 昭和十六年十一月まで』朝雲新聞社、1969年

この計画は、その後の日本海軍の発展に大きな影響を与え、太平洋戦争へと続く道筋を形作ることとなりました。

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