大沢宏晋

大沢宏晋（おおさわひろしげ）

日本の元プロボクサー、介護福祉士、そして慈善家。1985年 5月19日、大阪府大阪市に生まれる。第42代OPBF東洋太平洋フェザー級王者としての実績に加え、現役時代に介護福祉士として働きながらボクシングを続け、さらにデビュー戦から引退までの全てのファイトマネーを慈善団体に寄付するという活動でも広く知られている。所属はオールボクシングジム。

プロボクシングキャリア

2004年4月17日にプロデビュー。大阪府立体育会館でのデビュー戦は引き分けに終わった。キャリア初期のハイライトとしては、2005年9月3日に同会場で行われたライト級西日本新人王戦決勝で1回KO勝ちを収め、西日本新人王の栄冠を手にした。しかし、その後の西軍代表決定戦ではTKO負けを喫し、全日本新人王への道は閉ざされた。

着実にキャリアを重ね、2010年8月21日にはWBC世界ランカーであったアブラハム・ロドリゲスに判定勝ちを収めるなど、強豪との対戦経験を積んだ。

OPBF東洋太平洋王座獲得と防衛

2011年5月20日、メルパルク大阪でOPBF東洋太平洋フェザー級チャンピオンのジョネル・アリビオに挑戦。12回の激闘の末、2-1の判定勝ちを収め、第42代OPBF東洋太平洋フェザー級王座を獲得した。

初防衛戦は2011年12月4日、元同級王者の松田直樹を相手に行われ、8回TKO勝利で王座を守った。2度目の防衛戦は2012年4月30日、WBOアジア太平洋暫定王者ロベルト・コパ・パルエとの事実上の王座統一戦として堺市民会館で開催された。この試合では、直前のスパーリング中に右膝を剥離骨折するというアクシデントを乗り越え、9回TKO勝ちを収め、OPBF王座の防衛に成功すると同時にWBOアジア太平洋暫定王座も獲得した。しかし、3度目のOPBF王座防衛戦となった同年9月23日の上野則之戦は引き分けに終わったが、規定により王座は移動せず、防衛記録は3度となった。

王座剥奪とライセンス停止

2012年12月16日、韓国ソウルで行われたジェイソン・ブターブターとの試合に勝利し、WBOアジア太平洋暫定王座の初防衛に成功した。しかし、この試合は日本ボクシングコミッション（JBC）が非公認とするタイトルマッチであり、さらにJBCに提出された遠征届に虚偽記載があったことが発覚した。

これを受け、JBCは2013年1月22日付けで、大沢のボクサーライセンスを1年間停止するとともに、保持していたOPBF東洋太平洋フェザー級王座を2012年12月16日付で剥奪するという厳しい処分を下した。JBCはこの行為をボクシング界の秩序を著しく乱すものと判断した。大沢本人だけでなく、所属ジムの会長やスタッフにも処分が科された。また、WBOからもWBOアジア太平洋暫定王座を剥奪された。

ライセンス再交付と復帰

1年間のライセンス停止期間を経て、2013年12月12日にJBCによる資格審査委員会でライセンスの再交付が決定。同年12月20日には復帰戦を行い、西永哲也に9回TKO勝ちを収め、再起を果たした。

2014年7月1日付けで所属ジムをロマンサ雅ジムへ移籍。

再度のタイトル獲得と世界挑戦

2016年4月2日、フィリピンでWBOアジア太平洋フェザー級王座決定戦に出場し、初回KO勝利で再びWBOアジア太平洋フェザー級王座を獲得した。この勝利により、WBO世界ランキングでも上位に進出した。

念願の世界初挑戦は2016年11月5日、アメリカ・ラスベガスで行われたWBO世界フェザー級王者オスカル・バルデスとの一戦だった。マニー・パッキャオの前座という大舞台だったが、7回TKO負けを喫し、王座獲得はならなかった。

その後のキャリアと引退

世界挑戦失敗後もリングに上がり続け、2017年6月4日の再起戦を判定勝利で飾った。2018年4月28日には元世界王者・久保隼と対戦し、判定で敗れたものの、同年12月22日にはWBA世界スーパーバンタム級ランカーのベルマー・プレシアドにKO勝利するなど、強豪を相手に戦いを続けた。その後も勝利を重ねたが、2022年8月にはジョー・サンティシマにTKO負け。

そして2023年1月6日、樋口和輝との試合を引退試合としてリングに上がり、判定勝利で有終の美を飾った。

ボクシング以外の活動

プロボクサーとして活動する傍ら、大阪市内の養護施設でヘルパーとして勤務していた。また、2012年12月には自身の念願であった介護施設「げんきデイサービスセンター」を大阪市生野区に設立している。デビュー以来続けたファイトマネーの全額寄付という慈善活動は、彼のボクシングキャリアと並行して行われた重要な活動であり、多くの人々に感銘を与えた。

プロ戦績

プロ戦績は48戦38勝（21KO）6敗4分。

獲得タイトル

2005年度ライト級西日本新人王
第42代OPBF東洋太平洋フェザー級王座（防衛3）
WBOアジア太平洋フェザー級暫定王座
WBOアジア太平洋フェザー級王座

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