大沼街道 (愛知県)

大沼街道：歴史と自然が織りなす道

大沼街道は、愛知県岡崎市鴨田町から豊田市大沼町へと続く、歴史的な街道です。足助街道から分岐し、滝町を経て青木川沿いを北上、郡界川を越えて東大沼へと至ります。沿線には、豊かな自然と歴史的な名所が点在し、訪れる人々を魅了します。

沿線の見どころ

滝山東照宮

日本三大東照宮の一つである滝山東照宮は、大沼街道沿いの重要なスポットです。特に滝仁王門から大井野口にかけての区間は、かつての常磐村のメインストリートとして栄え、寺社が点在する趣のある街並みが残っています。県道477号のバイパス開通により交通量は変化しましたが、滝山寺の通りは旧道としての風情を今に伝えています。

米河内の馬頭観音

かつて大沼街道が県道として改修される前、米河内下一本松付近は急峻な坂道で、運送車が事故を起こしやすい場所でした。度重なる事故で命を落とした牛馬を弔い、また人々の安全を願って馬頭観音が祀られました。昭和初期には牛馬車運送組合が観音講を設け、お祭りを続けていましたが、時代の流れとともに運送業は衰退。その後、石材採掘業者が、さらに畔柳氏が資材置場としてこの地を使用するようになり、交通安全、家内安全、動物愛護の志をもって馬頭観音を崇敬し、祭りを受け継いでいます。平成に入り、県道拡張工事に伴って現在の場所に移転しましたが、今もなお、米河内の馬頭観音には絶えず生花が供えられています。

牛落渓谷と滝

岡崎市安戸町にある牛落渓谷は、かつて大沼街道最大の難所として知られていました。その名の由来は、荷を背負った牛が滑り落ちたことにあります。明治時代に県道として改修された際、自動車が通行する道としては、見返り橋がある方向に迂回するルートが選ばれました。

渓谷一帯は豊かな自然に囲まれ、別世界のような景観が広がります。谷底まで降りると、一の滝から四の滝まで、合計落差30メートルにもなる壮大な滝を鑑賞できます。この難所を切り開いた補天和尚と村人たちの物語は、常磐の昔話として語り継がれています。江戸時代末期、羽布の光照寺の補天和尚は、牛落渓谷の難所を通る人や牛馬の苦労を目の当たりにし、道路改修を発願。村人と協力して岩盤を削り、通行しやすい道を作りました。特に石切り場跡となっている場所は、一の滝の真上で岩盤が迫り、難工事であったと伝えられています。牛落渓谷と滝は、「旧岡崎観光文化百選」にも選ばれています。

現在の大沼街道

現在、大沼街道の一部は、以下の道路に引き継がれています。

愛知県道335号南大須鴨田線
愛知県道477号東大見岡崎線
愛知県道339号長沢東蔵前線
愛知県道338号花沢桑原線
* 国道301号（挙母街道）

これらの道路を通ることで、大沼街道の面影を辿ることができます。

周辺情報

大沼街道沿いには、足助街道、青木橋通り、春日通り、グランドロード、松平往還などの路線が接続しており、周辺地域へのアクセスも便利です。

大沼街道は、歴史と自然が調和した魅力的な街道です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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