大津五号

大津五号：湯河原の至宝

大津五号は、温州ミカンの一品種として、神奈川県足柄下郡湯河原町で生まれた柑橘類です。その誕生は1964年。大津祐男氏によって、十万温州の珠心胚実生から選抜された系統が、大津五号のルーツとなっています。十万温州の穂木を根府川分室から譲り受け、接ぎ木によって育成された苗木から、1965年3月に種を播種。そして、1972年には待望の初結実を迎えました。

大津祐男氏は、選抜された実生の中から、一号から十号までを栽培。その中から、大津四号と大津五号を登録するか悩んだ末、梶浦実氏、大垣敏昭氏の助言を受け、果実の品質に優れた大津五号を選抜、登録に至りました。大津四号と比較すると、大津五号は外観上の違いが少なく、地元の農家では区別がつかないことも珍しくありません。そのため、湯河原町では大津四号、五号、八号をまとめて『大津みかん』と呼んでいます。

大津五号の特徴は、なんといってもその優れた品質です。大津祐男氏に近い湯河原の農家では、その美味しさと品質の高さを高く評価し、自家増殖によって栽培が広まりました。しかしながら、大津五号の具体的な特徴については、文献資料が不足しているため詳細な記述が難しく、今後の研究が待たれます。

大津五号の誕生から現在まで、多くの関係者の努力によって、この貴重な温州ミカン品種は受け継がれてきました。その歴史と品質を理解することは、湯河原町の農業、ひいては日本の柑橘栽培の歴史を知る上で重要な一歩となるでしょう。大津五号の持つ独特の風味や、その背景にある人々の努力を知ることで、より一層、このみかんの美味しさを味わえるのではないでしょうか。

参考文献

『神奈川柑橘連四十年史』1990年（平成2年）3月31日発行、神奈川県柑橘農業協同組合連合会

関連項目

ウンシュウミカン
神奈川県
湯河原町
大津祐男
大津四号

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