大浜詩郎

大浜 詩郎

大浜 詩郎（おおはま しろう）は、日本の俳優。1947年3月10日に石川県に生まれ、2010年1月29日に62歳で逝去した。本名は芸名と同じ。日本大学芸術学部演劇学科に学ぶも中退し、俳優の道を志した。身長177cm、体重85kg、血液型はA型。俳優事務所オフィス・ジョイに所属していた時期がある。

大学在学中に日活からスカウトを受け、芸能界でのキャリアをスタートさせた。初期は多くの日活映画に出演し、スクリーンで存在感を発揮した。しかし、日活が成人映画路線であるロマンポルノへと制作の軸を移したことを契機にフリーランスとなり、以降は活動の舞台をテレビドラマへと移していった。

特に広くその名を知らしめることとなったのは、1973年から翌年にかけて放映された特撮テレビドラマ『ダイヤモンド・アイ』である。この作品で主人公、探偵の雷甲太郎を演じ、子供たちのヒーローとして人気を博した。本作への出演後、活動はさらに多岐にわたり、硬派な役どころから個性的なキャラクターまでを演じ分け、刑事ドラマや時代劇といった人気ジャンルで数多くの作品に出演した。1980年代以降は、映像作品に加え、舞台公演への出演にも力を注ぐようになる。また、俳優業と並行して、1994年には「裕 詩郎」名義でCDシングルをリリースし、歌手としても活動を展開した。役者として、特に殺陣やアクションを得意とし、その身体能力を生かした役柄も多かったほか、歌唱力にも定評があった。

『ダイヤモンド・アイ』への出演にまつわるエピソードは、彼の役者としての気概を示すものとして語り草となっている。番組のオーディションを受けた際、制作側から危険なアクションシーンへの対応について尋ねられ、「怪我はしませんから」と即座に返答したという。この言葉は、危険を恐れず、プロとして無事に役をこなすという強い覚悟の表れであった。実際、番組ではジェットコースターの上での格闘シーンなど、高度な危険を伴うアクションが要求されたが、見事に演じきった。また、劇中でオートバイを操る場面のために、出演決定後に自ら運転免許を取得するなど、役作りに真摯に向き合う姿勢も見られた。撮影当時、『ダイヤモンド・アイ』と同じ国際放映のスタジオでは、石原裕次郎主演の人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』も撮影されており、多くの俳優が出入りしていた。大浜自身、日活時代の先輩である石原裕次郎からは、現場でしばしば温かい声をかけてもらい、励まされたと後に述懐している。さらに、『太陽にほえろ!』に出演していた松田優作とも、撮影所近くの喫茶店で俳優仲間として親しく言葉を交わす機会が多かったというエピソードも残されている。これらの交流は、当時の日本の映像制作の現場の活気や、俳優同士の繋がりを示すものと言えるだろう。

主な出演作品を以下に示す。

映画

• - 非行少年 陽の出の叫び（1967年）
• - 黒部の太陽（1968年）
• - 八月の濡れた砂（1971年）
• - 現代やくざ 人斬り与太（1972年）
• - 樺太1945年夏 氷雪の門（1974年）

テレビドラマ

• - 大江戸捜査網（複数回出演）
• - 特別機動捜査隊（複数回出演）
• - ダイヤモンド・アイ（1973年 - 1974年） - 雷甲太郎 役 ※主演
• - 闘え!ドラゴン（1974年）
• - 太陽にほえろ!（複数回出演）
• - 特捜最前線（1978年）

舞台

• - 浮浪雲（1978年）

音楽

• - 別れ歌を背中に / 琥珀色の雨（1994年、シングル）

日活でのデビューから、特撮ヒーロー、刑事ドラマ、時代劇、そして舞台と、多岐にわたるジャンルで確かな演技を見せた大浜詩郎は、2010年に惜しまれつつこの世を去った。特に『ダイヤモンド・アイ』での主演は、多くのファンに強い印象を残し、今もその活躍は語り継がれている。

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