大澤毅

大澤毅：実業家と馬主の両面を極めた人生

1921年、愛媛県に生まれた大澤毅氏は、日本の実業家として、そして競馬界においても著名な馬主として知られています。彼の生涯は、ビジネスにおける成功と、競馬への情熱という二つの大きな柱によって彩られています。

ビジネスにおける功績

大澤氏は1961年、名古屋大阪物産を設立。翌年には社名を大阪物産と改め、精力的に事業を展開しました。その活動範囲は国内にとどまらず、1964年には東南アジア、翌1965年には中華人民共和国へと進出し、国際的なビジネスマンとしての顔も持ち合わせていました。彼の経営手腕と先見の明が、大阪物産の成長を支えたことは間違いありません。

競馬への情熱と数々の名馬

大澤氏のもう一つの顔は、熱心な馬主です。日本中央競馬会（JRA）と地方競馬全国協会（NAR）に登録し、独自の勝負服（赤、水色一本輪、黄袖）と冠名「マルブツ」で多くの競走馬を所有しました。

彼の所有馬は数々の重賞競走で勝利を収め、その活躍は競馬ファンに広く知られています。マルブツライト、マルブツウイドー、マルブツウイナー、マルブツサーペンなど、数多くの名馬が彼の所有馬として名を連ね、それぞれの馬が素晴らしい競走成績を残しました。中でも、マルブツセカイオーは全日本サラブレッドカップや東海菊花賞などの重賞競走を制覇し、大澤氏の馬主としての成功を象徴する存在となりました。冠名のない馬、ブリリアントロードも新潟大賞典や新潟記念を制するなど、活躍を見せています。

これらの馬の活躍は、大澤氏の馬選びの眼力と、馬への深い愛情を物語っています。彼は単なる馬主ではなく、馬の育成や管理にも深く関わり、その成功の背景には、徹底した準備と情熱があったことがうかがえます。

税務署との訴訟と社会への影響

1970年、大澤氏は競馬で獲得した賞金の課税上の扱いに関して、税務署を提訴しました。この訴訟は大きな注目を集め、競馬における賞金課税の問題を社会的に浮き彫りにするきっかけとなりました。この出来事は、大澤氏の行動力と、自身の信念を貫き通す強い意志を示すエピソードとして記憶されています。

晩年と現在

現在、大澤氏の馬主登録は抹消されていますが、彼の競馬への貢献と、数々の名馬を世に送り出した功績は、競馬史にしっかりと刻まれています。実業家として、そして馬主として、大澤毅氏は日本の経済界と競馬界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。彼の功績は、後世のビジネスマンや競馬関係者にとって、貴重な教訓と刺激を与え続けるものとなるでしょう。

参考文献

『産経日本紳士年鑑 第9版 上』（産経新聞年鑑局、1970年）
『安全と管理』第12巻10号（日本実務出版、1985年10月）
* 『優駿』1970年6月号（日本中央競馬会、1970年5月）

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