大瀬 (給油艦)

大瀬（おおせ）について

大瀬は、日本海軍の特務艦、具体的には運送艦としての役割を担っていた艦艇です。その起源は1935年に遡り、ドイツのフィンケンウェルダ社で建造されたオランダの油槽船「ヘノタ」にがあります。日本海軍はこの艦を第二次世界大戦中に捕獲し、艦名を「大瀬」と改名した後、新たな任務に就けました。

艦の経歴

オランダのラ・コロナ石油会社に所属していた「ヘノタ」は、1942年4月30日、オーストラリアのジェラルトンを出航し、イランのアーバーダーンを目指していました。しかし、インド洋上において、日本海軍の特設巡洋艦「報国丸」と「愛国丸」に捕らえられました。艦には20名の乗員が配置され、まずはペナンに回航されました。彼らはペナン到着後、一時的に艦から取り巻かれるという危険な状況に直面することになります。その後、タラカンを経由し、6月には徳山に到着しました。

進水から数ヶ月後の同年7月20日、大瀬と命名され、特務艦として舞鶴鎮守府に編入されました。この艦は、主に南方からの軽質油の輸送を担当することになりました。1943年6月24日には、高雄行きの第169船団に加わっていたものの、奄美大島の西方にて米潜水艦スヌークの攻撃を受け、魚雷が命中して船体に重傷を負いました。応急処置を施した後、佐世保海軍工廠にて修理が行われました。

戦争とその後の運命

大瀬は、その後も輸送任務を継続しましたが、1944年3月30日、パラオでの大空襲において米艦載機の攻撃を受け、ついに沈没してしまいました。この艦の残務整理は、戦後の1953年に行われ、オランダからは捕獲の合法性について再審査が要求される事態に発展しました。日本側は捕獲審検再審査委員会を設置し、最終的に日本海軍の行為が正当と認められました。

歴代艦長

大瀬の指揮は数人の艦長によって行われました。1942年7月20日から1943年9月15日まで指揮したのは三坂直廉大佐、続いて木岡蟻志松大佐が1943年9月15日から1944年4月15日まで艦長を務めました。彼らの指導の下、大瀬は数々の航海を実施し、さまざまな戦局において貢献した艦艇として名を刻むこととなります。

大瀬の意義

大瀬は、日本海軍における特務艦の一例として、当時の海軍の業務と環境を象徴する存在です。捕獲検定の過程や、戦後の再審査により、艦の運命は大きく変わりましたが、海軍艦艇としての歴史は現在も語り継がれています。特務艦という立ち位置から、日本海軍の艦艇の多様性や運用の幅広さが伺えます。

この艦の歴史は、戦時中の日本や捕獲の合法性に関する問題、さらには戦後の国際関係に対する影響をも思わせるものです。大瀬は、ただの軍艦ではなく、歴史の一部として私たちに重要な教訓を残しています。

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