大爆走 (映画)

大爆走 (I fidanzati della morte)

『大爆走』は、1956年にイタリアで製作され、翌1957年に公開されたモータースポーツの世界を舞台にした映画です。原題を『I fidanzati della morte』といい、イーストマンカラー、トータルスコープの形式で制作されました。

概説

この作品が日本で公開されたのは、イタリアでの製作から約10年後の1965年のことでした。東京第一フィルムが配給を手掛け、当時の宣伝では「イタリア超大作」として大々的に打ち出されました。製作から時間が経過していたにもかかわらず日本での公開が実現した背景には、いくつかの要因が考えられます。

出演者として、当時のイタリア映画界で人気を誇っていた女優、シルヴァ・コシナが出演しています。彼女は日本でも知られた存在でした。また、ドイツの女優マルギット・ニュンケも出演しており、彼女は1959年のドイツ映画祭での来日を機に日本での人気が高まっていました。さらに、戦前から活躍するベテラン俳優ハンス・アルバースも顔を揃えており、こうした国際色豊かな著名俳優陣の顔合わせが日本市場での魅力を高めた一因でしょう。

加えて、監督を務めたロモロ・マルチェリーニは、1961年にドキュメンタリー映画『ローマ・オリンピック1960』(La grande olimpiade)を手掛けていました。日本での公開時期が、1964年の東京オリンピック開催直後であったことも特筆されます。スポーツへの関心が高まっていたこの時期に、オリンピック記録映画の監督によるスポーツ関連作品（モータースポーツ）が紹介されることは、自然な流れであったと考えられます。これらの複合的な要素が相まって、旧作ながらも日本での劇場公開が実現したと推測されます。

一方で、ソフト化の状況は限られているようです。2017年4月時点の情報によれば、本作は日本国内だけでなく、本国イタリアを含むヨーロッパにおいても、DVDなどの物理メディアとしてリリースされていない状況でした。このため、現在では鑑賞機会を得ることが難しい作品の一つとなっている可能性があります。

スタッフ・キャスト

本作の主なスタッフ・キャストは以下の通りです。

監督:
ロモロ・マルチェリーニ

脚本:
ジュゼッペ・デ・サンティス (クレジット上ではジーノ・デ・サンティス)
ニコロ・フェラーリ
ロモロ・マルチェリーニ

出演:
リク・バッタリア
シルヴァ・コシナ
マルギット・ニュンケ
ハンス・アルバース

モータースポーツを題材に、当時のイタリア映画界と国際的な俳優陣の共演、そして日本の映画市場における公開背景が交差する興味深い作品です。

外部リンク

大爆走 - allcinema.net
I fidanzati della morte - IMDb (英語)
* Die Verlobten des Todes - filmportal.de (ドイツ語)

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