大牟田電気軌道1形電車

大牟田電気軌道1形電車

大牟田電気軌道1形電車は、1927年に西日本鉄道の前身である大牟田電気軌道により製造された2軸単車構造の電車です。この電車は、大牟田市内線の開業の準備として梅鉢鐵工所と東洋車輌によって13両が製造され、今では歴史的な価値を持つ存在となっています。

車両の概要

1形電車は、伝統的なデザインを持つもので、木造の車体を持ちながら、両端に引戸式の客用扉を備えていました。車体には、乗客の利便性を考えた8枚の窓が設けられています。いずれの車両も初期の標準的な路面電車のスタイルを示しており、その特長は今も多くの鉄道ファンに愛されています。

これらの車両は、経営方針の変化に伴い、1941年に九州鉄道に譲渡され、その後1942年には西日本鉄道に移行しました。このような経緯から、1形電車は時代ごとに様々な変遷を経験しました。

運用の変遷

1943年、大牟田市内線の輸送力向上が求められる中、旧来の単車からより収容力のあるボギー車に置き換える計画が立てられました。電気機器の入手が難しい中で、2軸単車の機器を維持しつつ新たなボギー車が製造されることになりました。この過程で、11両の電車はいったん別の車籍に編入され、162から174の番号が付与されました。

1946年にはその中の162と163が福島線に転属しましたが、いずれも時期を追って廃車されています。運命に翻弄された163は1950年に、162は52年に運行終了となりました。

残る164から174号車は、大牟田市内線でしばらく運行されていましたが、最終的には戦災により170号車が廃車となり、残りの車両は長崎電気軌道へと譲渡されました。この際、多くの電動機が再利用されるなど、効率的な資源の流用が行われました。

長崎電気軌道での運用

長崎電気軌道に移管された1形電車は、110形として運行を開始しました。これには戦災を免れた10両が登録され、1952年3月から新たな役目に就きました。車体塗装も変更され、初めはクリーム色とスカイブルーのツートンだったのが、運用開始から1ヶ月後にはダークグリーンに変わりました。

この新しい塗色は、多くの車両に受け継がれることとなり、1980年まで標準的な塗装とされました。しかし、110形も1962年には全車が廃車となり、長い歴史を閉じました。

主要諸元

• - 全長: 8.779m
• - 全幅: 2.286m
• - 全高: 3.394m
• - 自重: 7.6t
• - 定員: 50人
• - 出力: 26.1kw×2

大牟田電気軌道1形電車の経歴は多くの鉄道ファンに語り継がれ、今もそのレトロな魅力を放ち続けています。鉄道史の一端を担う重要な存在として、今後もその記憶が色あせることはないでしょう。

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