大犯三箇条

大犯三カ条とは

大犯三カ条（だいぼんさんかじょう）は、鎌倉幕府および室町幕府において守護が持つ基本的な権限を示す言葉です。これは『御成敗式目』に記載されたものであり、当時の政治体制における重要な要素として位置付けられています。

歴史的背景

この権限の原型は、平安時代まで遡ります。当時、特定の重犯罪者を追捕するために、追捕使や押領使が任命されました。これが後の鎌倉幕府における「大犯」という概念に繋がります。守護の役割は、当初はこの追捕の任務を引き継いでいたとされるのです。「大犯」という言葉自体も、重い犯罪を指す用語として使われていました。

大犯三カ条の具体的な権限

大犯三カ条には、以下の三つの権限が含まれています：

1. 大番催促 - 大番の警備を指示し、守護が守るべき区域の治安を維持するための権限。
2. 謀反人の検断 - 謀反を図る者を見張り、処罰する権限。
3. 殺害人の検断 - 殺人を犯した者を追及し、責任を問うための権限。

これらの権限は、守護が国を治めるための重要な知恵と力を象徴しています。

南北朝時代以降の権限の変化

しかし、時代が進むにつれて、特に南北朝時代においては、守護の権限が見直されることとなりました。この時期には、元々の「大犯三箇条」が変化し、以下のような内容となりました：

• - 謀叛人の検断 - 謀反人の捜索及び裁判。
• - 殺害人の検断 - 殺人者に対する捜査と処罰。
• - 夜討強盗山賊海賊の検断 - 夜間の襲撃や強盗、さらには山賊や海賊の取り締まり。

現在の異説

近年では、大犯三カ条に関する多様な異論が提起されています。特に「大番催促」は守護の権限に確かに含まれていますが、実際に「大犯」として扱われた例は乏しいという指摘がなされています。また、「大犯三カ条」の用語は鎌倉時代には存在せず、この用語が確立されたのは南北朝時代であるとの説も広がっています。

さらに、夜討強盗山賊海賊を大犯に含めることについても、『御成敗式目』第3条に既に守護の権限として掲げられているため、論議を呼んでいます。鎌倉時代には、重犯を「謀叛（人）、殺害（人）、刃傷（人）、夜討、強盗」という形で「重犯五箇条」として考えられていたことが記録されています。

また、六波羅探題と守護との間のやり取りでは、「関東御下知三ヶ条」と呼ばれる事例も見られ、この三つの項目が「大犯三箇条」に代わるべきだとの意見も挙げられています。これは、いかに当時の法律解釈が変わり得るかを示す明確な例です。

まとめ

大犯三カ条は、歴史の中で変遷を遂げながら、日本の法律や権力関係の変化を映し出す重要な概念です。研究が進む中で、これに対する理解も、ますます深まっていくことでしょう。

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