大田区歌

大田区歌と大田音頭

東京都大田区には、大田区歌という区歌が存在します。この歌は1954年に制定され、区民会館の落成を記念したものです。作詞は向井みどり、作曲は著名な作曲家山田耕筰によるものです。この1曲は、区民の心を一つにする大切な歌として位置づけられています。

制定の背景

大田区歌は、区民会館の竣工に伴い、歌詞を公募する形で他の楽曲と共に制作されました。応募は332篇に上り、審査を経て高橋掬太郎による補作が選ばれました。作曲には山田耕筰が依頼され、1954年10月30日に公式に制定されたことが告示されます。このように、地域の文化を盛り上げるために多くの区民が参加した歴史があります。

発表演奏と大田音頭

大田区歌の発表は、1954年12月3日に行われた区民会館の落成式において実施されました。この式典では、同時に高橋掬太郎の作詞、山田耕筰の作曲による「大田音頭」も新たに発表され、これにより二つの楽曲が大田区の文化を彩ることとなりました。

SPレコードの製作

1955年4月、音楽を広めるため、株式会社日本コロムビアによってこの区歌と大田音頭を収録したSPレコードが製造されました。A面には久保幸江と青木光一による「大田音頭」、B面には伊藤久男と安西愛子による「大田区歌」が収録されています。このレコードは300枚製造され、地域への配布が行われました。

歌詞と楽譜の配布

区歌と音頭の歌詞、楽譜は制定当初に1万枚印刷され、希望する人々に配布されました。これは、地域の憩いの場となる区民会館に相応しい文化的記念物としての役割を果たすためでした。また、1996年には『大田区史』の下巻にもこれらの歌詞と楽譜が収められ、今なお区民に愛される存在となっています。

新たな愛唱歌について

2018年には区制70周年を記念して、「笑顔、このまちから」という新たな愛唱歌が制定されました。この歌は、作詞を湯川れい子、作曲および編曲を千住明が担当しました。ただし、大田区役所は「大田区歌」を引き続き存続させる方針を示しており、他の区が旧歌を廃止する中で大田区は強いアイデンティティを保つ努力を続けています。

参考文献

• - 『大田区政十年 本編』（大田区役所、1957年）
• - 大田区史編さん委員会 編『大田区史』下巻（大田区役所、1996年）
• - 中山裕一郎 監修『全国 都道府県の歌・市の歌』（東京堂出版、2012年）

大田区歌は、地域のコミュニティを象徴する存在として、これからも区民に親しまれることでしょう。

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