大甲橋

大甲橋の概要

大甲橋（たいこうはし）は、熊本県熊本市中央区の白川に架かる重要な鉄筋コンクリート製の併用橋です。この橋は、熊本県道28号熊本高森線と熊本市電水前寺線の両方の交通を支えています。1924年（大正13年）に完成し、その名前は同年に甲子の年に建設されたことに由来しています。誕生から100年近くの歴史を持ち、熊本市内では特徴的な天井川である白川を跨ぐ重要なインフラの一部として現在も利用されています。

歴史的背景

大甲橋の建設は1924年に始まりました。市電水前寺線の建設を目的として、同年1月に工事が着手され、7月には完工が見られました。市電の一期線としては1924年8月1日に水道町から水前寺間が開通し、この橋はその重要な役割を果たしています。当初は電車専用の線として計画されたこの橋は、地元の要望や熊本電気株式会社の寄付を受けて人車併用の設計に変更されました。大正甲子の年の完成を記念して名付けられたその橋は、同年に開設された兵庫県西宮市の甲子園球場にちなんでおります。

当初、熊本電気株式会社の電車は蒸気鉄道として運行していましたが、1923年8月31日には全線の電化と営業が開始され、進化した交通手段が利用されるようになりました。

水害と再建

1953年に発生した白川の6.26水害は、大甲橋にも影響を与えました。これは九州北部を襲い、昭和28年西日本水害とも呼ばれています。橋自体は流失しませんでしたが、周辺の崩落と流木の堆積により通行が難しくなり、一時的に通行止めとなりました。白川には17箇所の橋があったものの、大甲橋と長六橋を除いてはほとんどが流失してしまいました。この水害の反省をもとに、1965年には橋脚の少ない新しい構造の橋への架け替え工事が始まりました。

新しい大甲橋は、長さ106メートル、幅35メートルで、車道は25メートル、歩道はそれぞれ4.5メートルずつの幅を持つ大規模なものとなりました。施工を手掛けたのは日立造船株式会社で、工事期間は約1年半にわたりました。この期間中は自動車の通行が制限され、電車も仮に設けられた軌道を利用せざるを得ませんでした。

近年の発展

1992年には、歩行者優先の快適な空間を提供するために、歩道の拡幅工事も行われました。さらなる利用者の増加を考慮し、歩道の面積が広がってゆとりのある移動空間が設計されたのです。これにより、橋を利用する人々はより快適に通行できるようになりました。

参考文献

• - 中村弘之『熊本市電が走る街 今昔』JTBパブリッシング 2005年
• - 「大甲橋」『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社 1982年
• - 『6.26 白川水害50年』熊日出版 2003年
• - 『昭和28年西日本水害調査報告書』土木学会西部支部 1957年

このように、大甲橋は地域の歴史や発展と共に変化してきた重要な橋であり、熊本市のシンボル的存在として今日も多くの人々に利用されています。

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