大番

大番（おおばん）について

江戸幕府の時代に設けられた大番は、軍事部門の一環として機能した職制の一つで、最も歴史が古く、また規模も大きかった。大番は御侍衆（おさむらいしゅう）と呼ばれ、江戸の泰平の世において江戸城や幕府の要地を警護する重要な役割を担った。大番は五番方の中でも特に立ち位置が際立っており、その組織は徳川家康が軍制を改変した際にさかのぼる1776年頃に設立されたとされています。

大番の構成と役割

大番は当初、6つの組から構成されていましたが、幕府の制度改革により後には12組に増強されました。各組は、番頭1名、組頭4名、番士50名、与力10名、同心20名から成り立っており、作業や指導の役割を分担していました。これにより、大番は約400人強の兵力を有し、平時には江戸城および幕府要地の警護を行ない、戦時には先手備として出動しました。

大番の番頭にはしばしば大名が任命されており、その地位は役高が5,000石とされていました。組頭や番士もその地位に応じた役高を持ち、大判の組織は幕府の軍事力として重要な役割に従事しました。

江戸城の警護と組織の変遷

平時の江戸城警備は、本丸御殿に詰めて行われていましたが、1643年には新番の創設に伴い、警備場所が変更されました。この結果、大番は士気の低下を迎え、その後は西ノ丸御殿などの警護に移行しました。さらに、江戸市中の巡回警備も担当し、広範な任務に従事しました。その一方、江戸時代初期には二条城や大坂城の警護も行い、各要地では2組が交替で任務に就いていました。

他の藩との違い

江戸幕府の大番は特異な存在ですが、他の藩にも類似の組織が存在しました。例えば、仙台藩では大番頭に統括された大番組が存在し、薩摩藩でも武士を大番と呼ぶ制度が設けられていました。また、長州藩や越後長岡藩などでは、大組と呼ばれる騎馬隊組織が置かれ、それぞれの家格や役職に応じた組織構成が見受けられました。

江戸幕府の大番はその限られた出世の途が特徴的であり、部屋住や浪人の一代限りの登用もありつつ、比較的下級の武士＝番士が配属されることがしばしばでした。それでも彼らの存在は江戸幕府の治世において重要な役割を果たしました。

結論

大番は江戸時代における軍事的な役割を担いながら、歴史に名を刻んだ重要な職制でありました。その組織構成や役割は、時代と共に変化しつつも、江戸幕府の安定に対する貢献は計り知れません。

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