新番

新番（しんばん）とは

新番とは、江戸幕府に設けられた職制の一つで、新御番所、新侍衆、若侍衆とも呼ばれました。五番方（書院番、小姓組、大番、小十人、新番）に数えられる軍事部門に属し、主に徳川将軍家の警備・警護を担う旗本の常備兵力として組織されました。格式は両番（書院番、小姓組）の下に位置づけられ、五番方の中では最も新しい番役です。

戦時において両番が将軍の馬廻りとして騎馬で戦うのに対し、新番は徒士（歩兵）でしたが、将軍本陣の近侍としての役割から馬上資格が認められていました。書院番と小姓組が対をなしていたように、歩兵である小十人と新番も対をなす存在でした。

平時には、特に将軍が外出する際の警護役を担い、泰平の世においては警備・警護の役割に専念しました。

江戸幕府における新番

新番は、3代将軍家光の時代に、本丸御殿の表と中奥の間にある土圭間（時計が置かれた部屋）に勤番所が置かれたことから、当初は土圭間組、または近習番と呼ばれていました。その後、桔梗の間、桐の間などを経て、新たに設けられた新番所に落ち着きました。

江戸幕府における新番は、五番方の一つとして、将軍が江戸城から外出する際に隊列に加わり、警護を担当するほか、武器の検分役などの役割も担いました。新番の責任者である新番頭は、役高2,000石でしたが、5,000石級の旗本から選任されることもありました。

新番衆の役高は250石（俵）で、書院番衆・小姓番衆よりも50石（俵）少ないものの、軍役上、常に馬を用意する必要がないという特徴がありました。ただし、馬上資格は認められており、大番と同様に出世は限られていました。

諸藩における新番

諸藩においても、特に大きな藩では新番という役職名が見られます。藩の常備兵力として、藩主などが領内を外出する際には、その行列に付き従い、警備を担当することが多くありました。薩摩藩では、家格として新番が存在していました。

まとめ

新番は、江戸幕府において将軍警護を担った重要な役職であり、平時には警備・警護に専念しました。また、諸藩においても同様の役職が見られ、それぞれの藩における警護の役割を担っていました。


参考文献
横山則孝「江戸幕府番方の範囲をめぐって」

外部リンク
『新番』 - コトバンク

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