大砂塵

『大砂塵』について

1954年にアメリカで上映された『大砂塵』（原題：Johnny Guitar）は、ニコラス・レイが監督し、ジョーン・クロフォード、スターリング・ヘイドン、マーセデス・マッケンブリッジなどが出演する西部劇映画です。原作はロイ・チャンスラーの小説に基づいており、製作はリパブリック・ピクチャーズという西部劇専門の会社により行われました。映画のタイトルとなる「ジョニー・ギター」は主人公の名前であり、彼を巡る2人の女性の戦いが物語の中心となります。

ストーリーの概要

物語は、まだ鉄道が通っていない小さな鉱山町が舞台です。流れ者のギター弾きジョニー・ギターが町に現れ、かつての恋人である酒場の主人、ヴィエンナのところに身を寄せます。町の人々は、ヴィエンナが無法者ダンシング・キッドと関係を持ち、彼女の野心に対して不信感を抱いています。ヴィエンナに恋心を抱く町の有力者エマは、町長たちを動かしてヴィエンナを追放しようと企てます。物語は緊張感に満ち、エマの兄の死を契機に、ヴィエンナとダンシング・キッドが24時間以内に町を去るよう宣告されることで展開していきます。

そんな中、ダンシング・キッドの仲間たちが銀行強盗を企てることになり、ヴィエンナは誤って仲間と見なされてしまいます。町の男たちはヴィエンナの酒場を襲撃し、エマはその場を燃やそうとします。エマの執拗な攻撃に対抗するため、ジョニーはヴィエンナを救い、2人は逃げることに成功します。彼らはダンシング・キッドの隠れ家に匿われ、そこでダンシング・キッドはジョニーの正体が伝説のガンマンであることを知ります。

物語は激しさを増していき、エマと町の男たちが追撃をかけてきます。男たちは当初殺し合いを避けようとしますが、やがてヴィエンナとエマの間で女性同士の決闘が繰り広げられます。エマは、ヴィエンナに近づくダンシング・キッドを射殺し、逆にヴィエンナに命を奪われてしまいます。最終的に、ヴィエンナとジョニーはその場を後にするのです。

キャストとスタッフ

映画のキャストには、戦前から活躍していたジョーン・クロフォードや、様々な西部劇に出演してきたスターリング・ヘイドンが含まれています。監督のニコラス・レイは、この作品のプロデューサーでもありましたが、その功績はクレジットに記載されていませんでした。また、フィリップ・ヨーダンが脚本を担当しましたが、急遽脚本を変更せざるを得なかった背景もあり、原作者であるロイ・チャンスラーが実際の脚本を書いたとの見方もあります。

ジョーン・クロフォードは、この作品が久々の出演作であったため、脚本に対して強い要望を持っていました。その結果、女性同士の対立が物語に強調されるように改変されました。さらに、主題歌「ジョニー・ギター」を歌ったペギー・リーの歌声も、この映画の印象的な要素となっています。

映画の影響と評価

『大砂塵』は、公開当初からフランスの映画批評家たちに熱狂的に支持され、その影響を受けた映画監督たちが多く登場しました。また、ビートルズメンバーのリンゴ・スターがかつて所属していたバンドの名も「ジョニー・ギター」という名であったことからも、この映画の文化的な影響の大きさが伺えます。

映画は2008年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、時代を超えて観客に愛され続けています。女性同士の決闘という独特のテーマや、ジョニー・ギターのキャラクターの魅力は、今なお多くの作品に影響を与えています。

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