大社湯

大社湯（たいしゃゆ）

鳥取県倉吉市に位置する大社湯は、かつて地域の人々に親しまれた公衆浴場です。この施設は、1907年（明治40年）に開業し、長い歴史の中で何度かの改修を経て、文化財としての地位を確立しました。

名称の変化

当初「第三鶴の湯」という名でスタートした大社湯は、隣接の出雲大社倉吉分院にちなんで現在の名称が定着しました。この名称は、時が経つにつれて地域の公式な名として広く受け入れられるようになりました。

歴史的意義

大社湯は、鳥取県内において現存する最古の銭湯とされており、その建築様式や外観は明治後期の公衆浴場の貴重な形態を今に残しています。地域の重要伝統的建造物群保存地区に近い場所にあり、周囲の景観とも調和した住宅風の建物が特徴です。2010年には浴場および主屋が国の登録有形文化財に認定され、その価値が公式に評価されました。

設備の特徴

大社湯の外観は木造の建築物で、ところどころに煉瓦が使われている独特なものです。内部には男湯と女湯が分かれており、木製のガラス戸を開けると広がる番台や脱衣場には、アナログな体重計や木製ロッカーが並んでいます。浴室はシンプルで、石造りの浴槽、汲み湯用の水鉢、立ちシャワーが設置されていますが、珍しくカランは設置されていません。また、内装は色とりどりのタイルで華やかに装飾されています。

過去の困難と再生

大社湯は、2015年にボイラーの故障で一時休業を余儀なくされた際、倉吉市の支援により復旧が行われました。翌年には鳥取県中部地震が発生し、さらに多くのタイルが剥がれ落ちるという被害を受けましたが、地域の支えを受けて修復を行い、一時の休業を経て再び営業を再開しました。最終的には、2022年11月30日に営業を終了することとなりました。

営業情報（廃業時）

大社湯は閉業するまで、毎日16:00から21:00まで営業しており、毎月5の付く日は定休でした。料金は大人350円、中人120円、小人60円と、地元の人々にとって利用しやすい価格設定でした。

アクセス

倉吉駅からは約4.5kmの距離で、路線バスを利用することでアクセス可能でした。また、周辺には専用の駐車場もあり、利便性が考慮されていました。

大社湯は、その歴史と文化的な意義から地域のシンボルとして多くの人々に親しまれてきました。廃業した今でも、建物が残されており、地域の文化遺産としてその価値を保っています。

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