大筒

大筒の概要

大筒（おおづつ）は、日本の戦国時代後期から江戸時代にかけて運用された火器で、主に攻城戦や海戦で重要な役割を果たしました。この大砲は、通常、鉄を鍛造して製造され、その構造により非常に高い威力を持っていました。特に、構造物を破壊する能力に優れており、攻防戦において大きな影響を与えました。

特徴と分類

大筒の設計や製造方法は、文献の解釈によって異なるため、明確な分類は存在しません。ただし、一般的には大型の前装式砲として知られています。弾丸の重さは約75gから数百グラムに及ぶものまで様々で、基本的には砲身を土俵や木製の架台に固定し、差火（たばこなどの火を使って点火する方法）を用いて発射しました。このため、大筒は強力な射程を持つと共に、扱いやすい火器として重宝されました。

一方で、大筒には火縄銃のようにカラクリ式の点火方式や銃床を持つタイプも存在しますが、これらの砲は30g程度の弾丸が限界です。また、他の火器に比べて大筒の威力は非常に高く、装填時にガス噴出が伴う石火矢に比べて優れた性能を示しています。このため、戦場におけるその存在感は非常に大きいものでした。

製造と材料

大筒は通常、鍛造によって作られたため、鋳造による火器に比べて破裂するリスクが低いとされ、比較的安価に製造することが可能でした。ただし、その技術的限界から、大口径の大筒を製造することは難しく、一貫目（約 3.75キログラム程度）のサイズが一般的でした。

後の時代になると、青銅を用いた鋳造式の前装砲（和製大砲）が製造され始め、大筒と石火矢が混在して使用されるようになります。このように、戦国時代から江戸時代にかけての武器の進化が見て取れます。特に、靖国神社の遊就館に所蔵されている「芝辻砲」という名の大筒はその代表的な例です。

歴史的使用例

歴史的には、伊豆水軍が駿河湾で行った海戦において、舳先に安置した大鉄砲の使用が記録されています。また、江戸期には、堺で製造された大筒の中に、口径51ミリのものが存在したことが知られています。文政11年（1828年）製造の上総国一宮藩の百目玉大筒は、四輪の砲台に搭載され、100匁（約375グラム）の弾丸を用いていたと言われています。

このように、大筒は日本の戦史において重要な火器としての地位を確立し、時代を通じてさまざまな変化を遂げながら使用され続けました。

もう一度検索