大紀元時報

大紀元時報（The Epoch Times）とは

大紀元時報は、アメリカ・ニューヨークに拠点を置くエポック・メディア・グループが発行する多言語メディアです。通称「大紀元」として知られています。このメディアは、中国で活動を禁止されている新興宗教である法輪功の関係者が中心となって設立されました。その報道スタンスは、中国政府、特に中国共産党に対して強く批判的であることが特徴です。また、2020年のアメリカ大統領選挙における選挙不正を主張するなど、陰謀論を広めていることでも知られています。

歴史と展開

2000年5月、法輪功に所属するジョン・タン氏らによってニューヨークで創刊されました。当初は中国語新聞としてスタートしましたが、現在では世界30カ国以上で様々な言語で発行されています。具体的には、英語、中国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語、ウクライナ語、ブルガリア語、ヘブライ語、スロバキア語、チェコ語、トルコ語、ポルトガル語、イタリア語、ペルシア語、日本語、韓国語、インドネシア語、ルーマニア語、ベトナム語、スウェーデン語、オランダ語など多岐にわたります。また、ウェブサイトでも多言語で情報発信を行っています。日本では、東京都中央区で日本語ニュースサイト『大紀元 エポックタイムズ・ジャパン』を運営しており、過去には日本語版の新聞も発行していました。

大紀元時報は、アメリカ国内に11の支社を持ち、世界30カ国にグループ会社を展開しています。ワシントンD.C.、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストンなどでは日刊で発行され、その他の国や地域では週刊で発行されています。中国語版は週120万部を発行しています。

報道スタンス

大紀元時報の基本的な報道スタンスは、反共主義に基づいた中国共産党への批判です。中国語ニュースサイトでは、中国共産党の内政や外交問題、内部事情に関する報道を行っています。また、法輪功の関係者が設立したメディアであるため、法輪功迫害問題についても積極的に報道しています。その他、チベット民族、ウイグル民族、モンゴル民族など少数民族への人権侵害、中国共産党員による国外スパイ活動、中国の電子戦、環境問題、民主化運動など、幅広いテーマを扱っています。

近年では、進化論、同性愛、フェミニズム、環境保護運動、グローバル化などを共産主義の陰謀とみなして批判しており、アメリカのトランプ元大統領を熱狂的に支持する団体としても知られています。NBCの報道によれば、大紀元時報はトランプ氏を反共のキーパーソンと位置づけ、「ディープステート」に関連する陰謀論を広めています。

主張と陰謀論

2004年には社説『九評共産党』を発表し、中国共産党の政治を暴政であると非難しました。また、2006年には中国の刑務所で法輪功学習者が臓器摘出の犠牲になっていると主張しました。さらに、ハバナ症候群についても、中国共産党による「脳内制御」の機密計画が存在すると主張しています。

大紀元時報は、『共産主義の最終目的』という評論を発表し、共産主義の危険性を訴えています。

また、科学的証拠に反する主張も多く、反ワクチン情報や気候変動懐疑論を頻繁に掲載しています。2020年のアメリカ大統領選挙では、選挙不正を主張する陰謀論を広めました。

これらの主張から、反中・親トランプの陰謀論を流布するメディアとして批判されています。Facebookは、大紀元時報が関与する偽アカウントを削除しています。

英語版ウィキペディアでの扱い

2019年、英語版ウィキペディアでは、大紀元時報をはじめとする法輪功系列のメディアを「信頼性が低い」として情報源として非推奨に指定しています。

受賞歴

一方で、大紀元時報は報道における賞も受賞しています。2005年にはアジア系アメリカ人ジャーナリスト協会の全国報道賞、カナダ全国マイノリティーメディア協会のメディア賞を受賞しました。また、2013年には、中国での臓器奪取問題を報道した記者にシグマ・デルタ・カイ賞が授与されています。

展開

大紀元時報はアメリカ合衆国を中心に、世界中に支局を展開しています。

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