大統領専用ヨット

大統領専用ヨットとは

大統領専用ヨットとは、主にある国の大統領が使用するために用意された特別な艦船のことです。ここでいうヨットは、一般的にイメージされる帆船ではなく、大型の遊行船を指します。外国の元首や賓客をもてなすための豪華な設備を備えていることが多く、国の威信を示す役割も担っています。

観艦式などの特別な機会に、一時的に特定の艦船が大統領専用ヨットとして指定されることもありますが、恒久的に専用のヨットを保有している国も存在します。

各国の大統領専用ヨット

フィンランド

フィンランドの大統領は、プライベートヨット「Kultaranta VIII」を所有しています。比較的小型のヨットで、個人的な利用を目的としているようです。

フィリピン

フィリピンの大統領専用ヨットは「BRP Ang Pangulo」という名称です。「Ang Pangulo」とは、タガログ語で「大統領」を意味します。アメリカ植民地時代から総督が使用していたヨットが、コモンウェルス時代を経て大統領専用ヨットとして引き継がれてきました。歴史と伝統を受け継ぐヨットと言えるでしょう。

ロシア

ロシアでは、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領時代に「シリウス (Sirius)」という名のヨットが使用されていました。

トルコ

現在トルコの大統領専用ヨットは「MV Savarona」です。2010年までは私的なリース契約に基づいて供与されていましたが、老朽化に伴い、新たなヨットの建造計画が進められています。新ヨットは全長50m級で、大統領や外国からの賓客をもてなすために使用される予定です。イスタンブール海軍工廠で建造されており、飛行物体のような特徴的な船体に、地対空ミサイルなどのハイテク機器が搭載されるという情報もあります。

アメリカ合衆国

かつてアメリカ合衆国も大統領専用ヨットを運用していました。1929年には、当時の大統領専用ヨット「メイフラワー」が世界恐慌の影響による財政政策の一環で退役しました。その後、「ポトマック」や「ウィリアムズバーグ」などが大統領専用ヨットとして活躍しました。

1961年には、池田勇人首相が訪米した際、ジョン・F・ケネディ大統領が「ハニー・フィッツ」という名のヨットに池田首相を招き、「ヨット会談」が行われました。最後の大統領専用ヨットは「セコイア」でしたが、1977年に退役しました。

ユーゴスラビア

ユーゴスラビア社会主義連邦共和国のヨシップ・ブロズ・チトー大統領は、「Galeb」という名のヨットを所有していました。また、プライベートヨットの「MS Jadran」は、1975年に売却され、カナダのトロントでレストランとして利用されました。

大統領専用ヨットの役割

大統領専用ヨットは、単なる移動手段としてだけでなく、外交の舞台としても重要な役割を果たしてきました。首脳会談や外国からの賓客の接遇など、様々な場面で活用され、その国の象徴として、歴史に名を刻んでいます。

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