大緑仁吉

大緑 仁吉

大緑 仁吉（おおみどり にきち）は、明治から昭和にかけて活躍した大相撲力士です。本名を帰山 仁吉といい、1880年1月3日に現在の福井県福井市で生を受けました。角界においては高砂部屋に所属し、身長179センチメートル、体重94キログラムという体格で土俵を務めました。彼の相撲人生における最高位は東前頭3枚目でした。1954年7月19日にその生涯を閉じています。

角界での歩み

大緑の力士としてのキャリアは、1901年1月場所に初土俵を踏んだことから始まります。地道な努力を重ね、番付を着実に昇進させ、1907年1月場所で新十両を果たしました。十両昇進後も勢いは衰えず、特に1908年1月場所では6勝2分2休という見事な成績を収めました。この記録は、現在の基準に照らし合わせると十両での優勝に相当する傑出したものでした。この活躍が認められ、彼は続く1908年5月場所で見事新入幕を果たします。

幕内での奮闘と成績下降

幕内に昇進してからも、大緑は初場所から3場所連続で好成績を維持しました。この短期間での活躍により、彼は番付を急ピッチで駆け上がり、自己最高位となる東前頭3枚目まで到達しました。これは当時、三役（関脇・小結）に迫る高位であり、その実力を示すものでした。しかし、最高位に到達した後は、残念ながら以前のような安定した成績を維持することが難しくなり、徐々に番付を下げていきました。最終的には再び十両の地位に陥落することとなりました。

引退とその後

幕内での地位を維持することが困難になった大緑 仁吉は、1912年5月場所を最後に現役力士を引退することを決断します。引退後、彼は日本相撲協会の年寄名跡である大山を襲名し、8代大山として後進の育成や協会の運営に携わったと考えられます。しかし、年寄としても長期間活動したわけではなく、1938年5月には相撲協会を廃業しました。角界を離れた後の彼は、実業家として第二の人生を歩みました。具体的には、瀬戸物業を営み、力士時代とは全く異なる分野で活躍したと伝えられています。

幕内成績と改名歴

大緑が幕内に在位した場所は、合計で7場所でした。この間の通算成績は24勝22敗と、ほぼ五分の成績を残しています。当時の相撲には、現代ではあまり見られない「引き分け（分）」や「預かり（預）」といった決着が多く、大緑の幕内場所でも14回の引き分けや預かりが記録されています。また、場所中の休場は10回ありました。

改名については、大緑 仁吉は現役期間中に四股名を変えたという記録は残されていません。初土俵から引退まで、「大緑 仁吉」の四股名で土俵を務め上げました。本名である帰山仁吉も一貫して変わりませんでした。

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